●　トップアスリート活動基盤整備事業をいかすために

　今日の我が国のトップアスリートは、企業や大学のチーム、また地域のスポーツクラブに所属して日夜努力を続けています。トップアスリートが安心して競技に打ち込める環境をつくることは、トップアスリートをサポートする我々、日本トップリーグ連携機構にとって大事な仕事であると同時に、それは国際競技力向上の観点から多くのスポーツを愛する国民のためにも資するものと考えています。
　文部科学省は、社会経済の変化に対応して、トップアスリートの活動基盤である所属チーム・スポーツクラブ（以下、「トップレベル・スポーツクラブ」という。）の経営安定のために、トップレベル・スポーツクラブ活動支援事業（以下、「活動支援事業」という。）を行ってきました。しかし昨今の世界的な不況は津波のごとく我が国のスポーツ界にも押し寄せてきており、より高度な経営手腕が問われています。
　このプロジェクトは、これまでの活動支援事業の成果および経営知識を、トップレベル・スポーツクラブを経営するすべてのみなさまと共有することにより、トップアスリートの活動基盤である、トップレベル・スポーツクラブの経営が磐石になることをめざしています。
　そこで、本プロジェクトではトップレベル・スポーツクラブの経営を分析して、関係者のみなさまの目線でアドバイスができる有識者にメンバー（表１）となっていただき、日本トップリーグ連携機構加盟の各リーグからの推薦を受けたトップレベル・スポーツクラブ（表２）を訪問し、限られた時間のなかで実行可能な経営アドバイスをさせていただき、その成果を今回スタートする連載のなかでみなさまにご報告することを考えています。
　今回推薦を受けてご協力いただく全国のトップレベル・スポーツクラブは、過去５年間の活動支援事業で成果のあったクラブもあれば、今後の経営改善により大きく飛躍が期待されるクラブもあり、さまざまなトップレベル・スポーツクラブの経営の事例をみなさまに提供することが可能であると考えています。

　この連載では、テーマ別に経営に関することを紹介して参りますが、トップレベル・スポーツクラブの経営に関する有益な知識・情報を、トップレベル・スポーツクラブの経営で陣頭指揮を取られるみなさまと共有し、さらにはみなさま、トップレベル・スポーツクラブ経営者のネットワークができることを希望しています。


　それではどうぞよろしくお願いいたします。

トップアスリート活動基盤整備事業 プロジェクトメンバー（表１）

	氏名	所属／担当分野
1	髙橋義雄	プロジェクトリーダー／筑波大学大学院准教授
		クラブの全社戦略およびマーケティング戦略
2	相原正道	東京オリンピック・パラリンピック招致委員会
		広報宣伝、ＰＲ活動、マーケティング、クラブの広報戦略、 メディア対応。ＨＰ活用。選手メディア教育
3	五十嵐幸之輔	バスケットボール女子日本リーグ機構
		スポンサー営業・クラブ事業、クラブの財源。財務戦略
4	小山内孝之	Office Osanai代表
		チケット販売戦略および販売システムの構築、後援会組織の運営
5	榊原孝彦	愛知県広域スポーツセンター事業推進室
		地方自治体対策、地域スポーツ団体対応、 地域における新規事業戦略、総合型地域スポーツクラブ
6	佐野毅彦	慶応義塾大学大学院健康マネジメント研究科准教授
		イベント運営・商品企画開発、クラブの商品開発、 リーグ経営、法務・リスクマネジメント
7	八鍬美由紀	筑波大学大学院体育研究科
		人材開発、人材採用、組織人事戦略
8	辻居幸一	中村合同特許法律事務所・弁護士
		法務、リーガルチェック
9	奥村直樹	中村合同特許法律事務所・弁護士
		法務、リーガルチェック
10	平野祐司	日本トップリーグ連携機構 事務局長
		プロジェクト管理・事務局
11	押見大地	日本トップリーグ連携機構 サポートスタッフ（早稲田大学大学院）
		プロジェクトサポートスタッフ
12	吉倉秀和	日本トップリーグ連携機構 サポートスタッフ（早稲田大学大学院）
		プロジェクトサポートスタッフ

トップアスリート活動基盤整備事業　対象チーム（表２）

リーグ	委嘱クラブ	事務局所在地
なでしこ	岡山湯郷Belle	岡山県美作市
	清水第八プレアデス	静岡県静岡市
Vリーグ	四国Eighty　８　Queen	香川県高松市
JBL	レノヴァ鹿児島	鹿児島県鹿児島市
WJBL	山梨クィーンビーズ	山梨県甲斐市
	JOMOサンフラワーズ	千葉県柏市
ハンドボール	三重バイオレット・アイリス	三重県鈴鹿市
アイスホッケー	ゼビオ東北X-United	福島県郡山市
ホッケー	名古屋フラーテルホッケーチーム	愛知県名古屋市
	コカ・コーラウエストレッドスパークス	広島県広島市