日本トップリーグ連携機構 トップアスリート活動基盤整備事業 活動報告レポート<第8回>
●「チケッティングについて」
1.チケット販売の現実
各リーグによってチケット販売の主体者が違い、全て各チームが販売しているとは言い切れません。
①リーグ事務局がシーズン全ての試合毎にチケット販売している。
②開催する都道府県協会が試合毎にチケット販売している。
③チームが自分のホーム試合についてチケット販売している。
チケット販売の現状は、上の3つに分けられるようです。
チケット販売がチームで行われていない現状でも、収入源として大きな可能性を含んでいる分野であるし、お客様との接点となる媒体でもあり、マーケティングの1つのバロメーターという点からも、チームの皆さんは良く内容を理解しておく必要があると思います。
2.チケット販売の前提
①観客が収容できるスタンド等があって、入場管理ができる試合会場であること。
②チケット金額が1000円以上の単価で観客が入ること。
③チケット管理する担当者がいること。
3.現状のチケット販売の方法
チケットを販売する方法として2つの方法があります。
A:自分たちでチケット印刷し販売する方法
① | 印刷したチケットを開催する都市を中心にスポーツチケットを販売している店舗(例えば、スポーツショップ、本屋、イベントチケットを取り扱っているプレイガイド等に持ち込み、手数料の交渉(5〜10%)をして販売してもらう。 |
② | 関係者が一人ずつ枚数を割り当てて販売する。 |
③ | 事務所の電話で受付、チームのHPがある場合にはインターネットでも受付し、口座に振込をしてもらいチケットを郵送する。 |
【この場合の注意点】
① | チケット販売担当者の一人が全てを管理しないと訳が分からなくなるため、専任者が必要になります。また、その専任者の能力如何によって管理の質が大きく違います。 |
② | また、どうしても管理するチケット枚数に限界が生じます。毎週のように試合が行なわれる場合、1試合200〜500枚が限界でしょう。 |
③ | 管理するだけで大変なため、販売促進や告知などは別の人が担当すべきです。 |
B:チケット流通会社に委託する方法
①一般的にチケット流通会社は4社あります。
・チケットぴあ:電話予約、インターネット予約販売、店舗直接販売、店舗予約引換
提携CVS:ファミリーマート、サークルK・サンクス (全国13、522店)
・ローソンチケット:電話予約、インターネット予約、店舗直接販売、店舗予約引換
提携CVS:ローソン (全国8、614店)
・イープラス:電話予約郵送、インターネット予約販売郵送、店舗予約引換
提携CVS:セブンイレブン (全国12、141店)
・CNプレイガイド:電話予約、インターネット予約販売、店舗直接販売、予約引換
提携CVS:セブンイレブン、am/pm
【この場合の注意点】
① | スポーツに強い会社は、「チケットぴあ」と「ローソンチケット」の2社です。 |
② | しかし、どちらか一方だけに委託するのではなく2社に委託するほうが、販売数が多くなる可能性大です。なぜなら、提携しているCVSの分散が補填し合うからです。 |
③ | 流通会社に委託すれば自動的に販売できる状況にはなりますが、それだけでは販売増にはなりません。「告知」計画が大きなキーポイントになります。 |
④ | 「告知」は、既にテレビやラジオ、新聞、インターネット等を駆使して出来るだけのことをおやりだと思います。それに加えて、提携CVSのファミリーマートやサークルK・サンクス、ローソンの開催都市にある店舗の店長に挨拶しに行って、協力関係が築けたら強力な「告知媒体」になります。 |
⑤ | CVSでのチケット販売は、チケット料金の他に「代金回収手数料」1件当り150円と「チケット発券手数料」1枚当り105円がかかる場合があります。チケット料金が当日料金と前売料金が同額の場合、前売の方が高額になってしまいます。前売料金が少なくても300〜500円安くないと前売販売は効果が出ません。 |
【チケット委託会社の手数料】
①登録手数料:0〜31、500円(年間の売上高や委託頻度によって変動します)
②販売手数料:10〜12% (年間の売上高や委託頻度によって変動します)
③チケット用紙代:10〜20円 (各社によってまちまち)
④その他:情報掲載手数料等
・ | 委託販売が最初のうちは、「①登録手数料」は払わないと取扱してもらえないと思いますが、2年後辺りからは実績も出てくる筈ですから0円になるように交渉しましょう。 |
・ | 「②販売手数料」は、10%を目標に交渉するのが良いと思います。10%以下だと営業担当者も積極的に売らなくなります。他の手数料が高いものを優先的に扱うことになりますので、無理にこの手数料を下げることはお勧めしません。 |
現状では、以上の2つの方法を組み合わせてチケット販売を行っているのが現実だと思います。Aに比重が多く掛かっている場合は、まだ世の中的に認知度が低いことが考えられます。Bに比重が多く掛かっている場合は、世の中への認知度は定着しているが顧客の囲い込みが出来ていないことが考えられます。理想的には、Aが60%、Bが40%となるのが良いのですが、そのためにはAの処理は手作業では難しく、次へのステップアップが必要となってきます。
4.目指すチケット販売
社会が不況で失業率が高くなっている今、観客として来ていただける方々の自由に使える可処分所得の金額も少なくなっています。しかし、不況でも興行イベントやスポーツイベントの質の良いものや宣伝力の強いものは、過去きちんと集客が出来ています。観客は、数ある中から1つか2つのイベントを選ぶ傾向が益々強くなっています。
そこで、これからのチケット販売は、顧客の囲い込みを行って積極的にこちらから情報を流しチケット販売を促すことが大きな戦略となります。
【この戦略を実行する為に必要なものは】
①チームにチケット販売システムが必要になる。
②顧客管理のシステムが必要になる。
③メールマガジン作成と送信の管理者が必要になる。
つい5年前までは、上記のようなシステムを構築する為には、何百万円から何千万円という単位の金額が必要だったり、もっと安価でも信頼性が低かったりしていました。
しかし、現在は月額数万円の固定費で実現できるシステムが既にありますし安定運用されています。また、既存の安価なソフトも発売されており、環境は変わりつつあります。
【結論】
今すぐシステムを導入すべきでは有りません。先ずは、自分たちの「地域の特性」や「リーグの方向性」などを考慮しつつ、将来のチケット販売のあり方をこれを機会に議論することが必要ではないでしょうか。