企業のオリンピック遺産
バンクーバーから飛行機で東へ1時間ちょっと飛ぶとカルガリーに着く。1988年に冬季オリンピックが開かれた街の市内には、メダル授与式が行なわれたオリンピック・プラザがこの時季はスケートリンクとして開放され、カタリーナ・ヴィットがカルメンを舞ったサドル・ドームは、地元のアイスホッケーチーム、フレームス(NHL)とヒットマン(WHL)の本拠地として地元ファンの熱気に包まれている。 オリンピック・パーク内には《オリンピック殿堂博物館》がある。88カルガリー大会のレガシー(オリンピック遺産)のひとつとして整備されたもので、同大会にまつわる展示を中心に、オリンピック学習用の教材や資料が豊富に揃い、アドバイザーも常駐している。優れた功績や偉業を称える意気込みという点ではアメリカにひけをとらないカナダの特色がここでも発揮されており、なかでも歴代オリンピック代表選手団の「旗手」を称えるコーナーが面白い。 陸上のハードル選手だったウォーラルは1936年ベルリン大会で旗手を務めた。その際、国を代表してオリンピックに出場すること、オリンピック精神を敬うことに強い誇りを抱き、以来、カナダ選手の競技力向上のため、また若者たちのスポーツ参加を促進することに尽力。76モントリオールとカルガリー両オリンピックの大会招致に貢献したほか、カナダオリンピック委員会会長、カナダ最初のIOC委員として国内外で活躍した。 カナダ国内でガソリンスタンドを展開する同社は、カルガリー大会の聖火リレーを協賛した。以来、経済的援助を必要とするアスリートやコーチらを対象とした奨学金制度を設けるなど様々なスポーツ支援活動に継続的に取り組み、今回のバンクーバー大会では国内スポンサーに名を連ねている。
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