第91話 ラグビーW杯の日本開催に向けて
2011/9/30
ニュージーランドで、ラグビーのワールドカップが開かれている。日本代表も出場しているのだが、大会が開かれていることすら知らない者も少なくない。オリンピックやサッカーのW杯とは注目度が違うようだ。新聞報道もそれを反映してだろうか、日本戦の前日・翌日ですら紙面は小さく、サッカーW杯のアジア3次予選、「なでしこリーグ」に関する記事に埋もれている。 百年以上の歴史をもつ近代オリンピックや、1930年に始まったサッカーW杯に比べるとラグビーW杯の歴史はまだ浅く、1987年から始まった。豪州やNZの呼びかけにラグビーの母国イギリスの4つの協会(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド)が応じて開催に漕ぎつけ、今年のNZ大会で7回を数える。観客数224万人、テレビ視聴者数42億人(いずれも2007年大会の場合)と、世界的注目度ではオリンピック、サッカーに次ぐといってよい規模の大会に成長した。 財政面の心配もある。オリンピックやサッカーW杯では、その大会運営費は、テレビ放映権やスポンサーからの協賛金、公式グッズの販売、入場料収入などでまかなわれ、1998年長野冬季オリンピック、2002年日韓W杯では余剰金が生まれた。これに対してラグビーの場合、およそ180億円とみられる運営費は主に入場料収入から捻出しなくてはならない仕組みになっている。サッカーくじ“toto”を運営する日本スポーツ振興センターが36億円の助成金を出すとはいえ、不足分の確保は観客動員にかかっている。 そのため、会場の一つとなる国立競技場が現在の6万人収容から8万に拡大するプランに期待がかかる。その一方で、今回のNZ大会では48試合のうち実に11試合が、最大収容数(6万2千人)を誇るイーデン・パーク競技場(オークランド)で行われるように、日本大会も国立競技場、日産スタジアム(横浜7万2千人)での試合が多くなるかも知れない。 幸いかな、国の新しい学習指導要領は、中学・高校の体育理論において、国際的スポーツ大会の意義を学ぶよう定めている。「国際理解」「国際親善・友好」に重点が置かれ、生徒たちは、海外からやってくる選手や観客たちと積極的に交流できるチャンスだと教えられる。2019年は学習成果を実感する好機なのだ。
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