ロンドンオリンピックニュース Vol.24

2012/02/14

イギリススポーツ【パブリック・スクールにおけるスポーツの意義】

 前回のコラムで、パブリック・スクールは性格形成を重視し、中でもゲームやスポーツを最も適した手段として紹介した。今回は、実際にどのような競技が当時行われていたかを紹介していきたい。
 性格形成という点において、最も高い価値が認められたのはクリケットやフットボールなどの組織的ゲームであった。これらは、支配階級にふさわしい人格を養い、男性的な美徳の形成に役立つゲームとして奨励された。例えば、生徒たちが自己を犠牲にする覚悟で自分の所属するチームのために努力することがこれに当てはまる。また、スポーツマンシップもゲームによって養われる美徳とされた。
 当時は生徒たちの性格を作り上げることにスポーツの重きが置かれていたため。技術的な面はほとんど評価されなかった。また、寄宿寮制度が競争的要素と結びつき、寮対抗競技や対校競技が盛んに行われた。特に1850〜1880年代にこれがもっとも盛んに行われ、ゲームで勝利することは、学校の名声を高めると言われるほど、競技志向が高まった。1860年ごろに入ると、寮のカップやカラーなどが決まりだし、より競争的な側面が強くなる。そして学校の威信を維持するために、プロ・コーチとゲーム教師が登場し、より一層競技化が進んだ。このように、パブリック・スクールのスポーツは、スポーツの持つ教育的価値を社会に認知させ、近代スポーツの組織化と普及の基盤を作ったとされている。



オリンピック開催地決定まで(1)

 4年に1度世界中が盛り上がるスポーツの祭典、それこそがオリンピックである。そのオリンピックの開催地はどのように決められているのか。
 1894年IOC(国際オリンピック委員会)が創立した。その創立時より、オリンピックに関心を持つ都市の中から主催都市が決められるようになった。オリンピックの開催地は原則としてオリンピックが開催される7年前にIOC総会で決定される。IOC総会は年に1度行われ、総会の開催地は年によって異なるが、オリンピック開催年はその都市で総会が行われている。そのため、2012年の総会はロンドンで行われる。
 オリンピック開催を希望する都市はオリンピック開催の9年前までにIOCに申し出をする。その後2年間、IOCの中に設けられている「オリンピック評価委員会」の視察を受け報告書が作成される。複数の立候補地は視察を受け、いくつかの都市に絞られる。絞られた都市は、オリンピック開催7年前のIOC総会で最終選考を受けることになる。116人の委員が1つの都市が過半数投票を受けるまで、投票が繰り返される。1回の投票ごとに最下位の都市は落選する。ロゲ会長と立候補している都市の委員は落選するまで投票権を持たない。
 日本(東京)は2020年の夏季オリンピックの開催地に立候補している。2020年大会には、イタリアやスペインなど6カ国が現在立候補している。その開催地は2013年9月アルゼンチンで行われる総会で決定される。

開催地に立候補しIOCへ申請(オリンピック開催9年前)

オリンピック評価委員の視察

IOC総会にて投票(オリンピック開催7年前)

【2020年東京オリンピック・パラリンピック立候補申請都市一覧】

都市名
(国名)
人口 立候補歴 主な世界大会開催実績
(1) イスタンブール
(トルコ)
1,082万人 2000、2004、2008、2012年立候補もすべて落選 2010年バスケットボール世界選手権
(2) 東京
(日本)
849万人 2016年立候補も2回目の投票で落選 1972、1998年冬季五輪
(3) ローマ
(イタリア)
272万人 2004年アテネとの決選投票で落選 1956、2006年冬季五輪(別都市)
(4) バクー
(アゼルバイジャン)
192万人 2016年第一次選考(書類選考)で落選 2007年レスリング世界選手権
(5) ドーハ
(カタール)
38万人 2016年第一次選考(書類選考)で落選 2022年サッカーW杯
(6) マドリード
(スペイン)
321万人 2012、2016年落選 1982年サッカーW杯、