ロンドンオリンピックニュース Vol.25

2012/02/20

オリンピック開催地決定まで(2)

 2012年のオリンピック開催地には、ロンドンの他にパリ(フランス)・ライプチヒ(ドイツ)・ニューヨーク(アメリカ)など9都市が立候補していた。視察により、パリ・ニューヨーク・モスクワ・ロンドン・マドリードの5都市に絞られた。2005年に5つの都市はもう一度、オリンピック委員会による視察を受け2005年7月にシンガポールで行われたIOC総会で開催地決定のための投票が行われた。投票は5回行われ、パリとロンドンの2都市に絞られた後、最終投票でロンドンが4票パリを上回り、2012年大会はロンドン開催が決定した。オリンピック招致成功には“コンパクトなオリンピック計画・印象的なPR・明確なコンセプト”が必要といわれている。総会の1ヶ月前に発表される報告書の時点ではパリが有利だったが、ロンドンのPR活動が招致成功の鍵となった。
 ロンドンのPRは、サッカーのデービット・ベッカム選手など世界的に著名なスポーツ選手の協力や、ブレア首相、エリザベス女王の後押しなどによって行われた。また、世界中195カ国以上で放映されるプレミアム・リーグの試合での招致PRなどを行い国民の意思が一つになっていたことも大きな招致成功の要因になったようだ。投票直前に行われる、最終プレゼンテーションで施設の充実さをアピールする都市が多い中、ロンドン招致委員会会長のセバスチャン・コーは「ロンドンからイギリスへ、イギリスから世界へ、次の世代へオリンピック遺産を引き継ごう」と訴えた。この最終プレゼンテーションもまた、招致に大きく影響したといわれている。
 2020年のオリンピック招致を目指す東京も、明確でコンパクトな運営計画をたてる事とともに、オリンピック招致のPRも重要になってくるだろう。



イギリス発祥のスポーツ 〜サッカー〜

 イギリスは数多くのスポーツを誕生させているが、その中でも世界的に人気のあるスポーツがサッカーである。イギリスではサッカーを「フットボール」と呼んでおり、近代的なルールを統一させたことから「近代サッカーの母国」と呼ばれている。国内においてもそれぞれの地域独自のサッカー協会が設置されている(詳細はロンドンオリンピックニュースVol.21の『イングランドサッカー構造について』を参照下さい。)その中でも、世界的に人気を集めているリーグがプレミアリーグである。この国内にある地域協会はすべて国際サッカー連盟(FIFA)より先に発足していることからも、サッカーという競技がいかにイギリスに浸透しているスポーツであるかが伺える。


 イギリス国内におけるサッカー人気の中、特に長きに渡って、人気を博している選手が、デイビッド・ベッカム選手である。ベッカムは日本と韓国で共同開催された2002年FIFAワールドカップで日本に来日し、当時は日本人もベッカムの髪型を真似た「ベッカムヘアー」が流行し、日本でも一時、時の人となった。このように、海外でも高い知名度を持つことから、多くの広告にも起用され、またその端整な顔立ちから、ファッションアイコンとしての注目も集めている。ベッカムは1993年にマンチェスター・ユナイテッドでプロ生活をスタートさせて以来、レアル・マドリード、ACミランなど名立たるクラブでプレイしており、サッカー選手としての活躍も評価され、イングランド代表として何度も選出されている。また、FIFA最優秀選手賞にも2位に二度選出されるなど、サッカー選手としての能力も高く評価されている。現在、ベッカムはアメリカのメジャーリーグサッカー(MLS)史上最高額となる契約金で、ロサンゼルス・ギャラクシーと契約を結び、スター選手として貢献している。

 2月22日、ロンドンオリンピックを目指すU-22の第5戦マレーシア戦も行われる。日本時間22:00キックオフ予定である。