「語り継ぐもの」
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政府の教育再生会議が先日発表した「社会総がかりで教育再生を・第3次報告」に、「徳育と体育で、健全な子どもを育てる」といった内容が盛り込まれ、「徳育を教科とし、感動を与える教科書を作成する」という方針が示された、と聞きました。
そういえば、学校教育の現場から「スポーツの物語」が消えて久しいのではないでしょうか。昔の子どもたちは、偉大な選手の話、選手同士の友情の話、フェアプレーの話など、さまざまなスポーツのエピソードに胸を熱くしたものです。
戦後復興の時代に、次々と世界記録を打ち立てた水泳の古橋広之進選手は、国民に希望と勇気を与えてくれましたし、1936年のベルリン五輪陸上棒高跳びで2位、3位となった西田修平選手と大江季雄選手が、銀と銅のメダルを半分ずつ割って作った「友情のメダル」には、お互いをたたえあう友情の大事さを教えられました。
また、1984年ロサンゼルス五輪の柔道決勝戦で、山下泰裕選手と対戦したエジプトのラシュワン選手が、2回戦で負傷した山下選手の足を攻めなかったというフェアプレーには、真のスポーツマンシップを感じました。
スポーツ界には、こうした「本物」の物語が数多くあります。友情、尊敬、そして相手を思いやる心や努力の大切さ。スポーツ界にかかわるものとして、こうした美しいスポーツエピソードを風化させることなく、次世代に語り継いでいくことが、私たちの使命と思っています。
私の所属する日本トップリーグ連携機構では、こうした取り組みをホームページ上で「次世代に伝えるスポーツ物語」として連載中です。ぜひご覧ください。
※平成20年1月17日 東京新聞夕刊東京新聞夕刊コラム「放射線」より転載
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