「スポーツ界の自立」
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「フェアプレー」「フレンドシップ」「ファイティング・スピリット」は、スポーツがもたらす「3つのF」の精神です。
この精神に代表されるように、スポーツはこれまでモラルの向上や人間形成、教育面などあらゆる面において重要な役割を担ってきました。
みなさんの中にも、スポーツを通じて人間形成をおこなわれた方は、数多くいるのではないでしょうか。こうしたスポーツが果たしてきた功績は、人類にもたらした大きな資産と言っても過言ではないでしょう。
その一方で、日本のスポーツ界には、運営資金の多くを国や地方自治体からの補助金、親会社などからの援助によって賄っている競技団体やチームが多くあります。
こうした組織は、自らが大きな収入源を持たないことから、運営基盤が脆弱になりやすく、景気の影響などを容易に受けがちです。実際に、これまでも多くの組織が運営の問題に直面し、資金難に陥ったり、廃部に追い込まれたりなどしています。今後もそのような組織が出てくることも予想されます。
こうした事態を避けるためにもスポーツ界は、自立する必要があると思います。“自立する”ということは、他からの助けに頼らず、独り立ちすることを意味します。いつまでも助成金や援助に頼るのではなく、せっかく、これまで築いてきた貴重な資産があるのですから、その資産を有効に活用してはどうでしょうか。
そのためには優れた国際感覚や経営知識を持った人材が求められます。スポーツ界も自立に向けて、マネジメントに有能な人材の育成が、これからの重要な課題になると思われます。
※平成20年3月13日 東京新聞夕刊コラム「放射線」より転載
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