「I T時代の指導者」
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国内のパソコンの普及はここ数年、目覚しいものがあります。私たちのような戦中生まれでも、日常生活の中で、メールをはじめ文書作成など、パソコンなしでは仕事にならない世の中です。
こうした現象は、スポーツ界をも席巻しつつあります。指導者は、例外なくパソコンを駆使していると言っても過言ではありません。選手のデータから対戦相手の情報、試合の分析に至るまで、あらゆる場面で活躍しています。チームにおける分析班や情報チームの存在などは、もう常識といってもいいでしょう。
一昔前のスポーツ指導者は、長年の経験と現場に密着した「カン」を頼りに、指導するタイプが多かったように思いますが様変わりしたものです。
もちろん情報データは重要な材料ですが、私はデータだけに頼る指導方法には疑問を持っています。指導する選手たちは生身の人間です。指導者自らが、人間的魅力を磨き、常に現場に立脚し、選手たちを信頼し、共に戦う。そんな姿勢を忘れた時、選手は誰もついてこないと思います。
情報やデータを活用することも大事ですが、人は心で動くものです。心のボタンを押すことのできる指導者が、IT時代においても、スポーツ指導者の普遍の姿だと思っています。
※平成20年4月3日 東京新聞夕刊コラム「放射線」より転載
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