「ドーピング」

 五輪は世界的なスポーツの祭典となり、国際オリンピック委員会には205の国と地域が加盟するまでになりました。半面、ドーピング、レフェリング、国籍問題など悩ましい問題も起きています。今回は問題の1つドーピングについてです。
 ドーピングとは、選手のパフォーマンスを増幅させる可能性のある手段(薬物や方法)を不正に使用することを言います。なぜ、ドーピングを禁止するのでしょうか。理由はいくつかあります。
 まず、選手自身の健康への影響です。禁止薬物を摂取することで競技成績は向上したが、健康を害したり、亡くなった選手もいるといわれます。
 次に、フェアプレーの問題です。ルールを守って正々堂々と戦うことがスポーツの真の姿。薬物などを使って競技に勝つという行為はアンフェア以外の何ものでもありません。また、一流選手のドーピング違反は青少年への影響も大きく、一種の社会悪であるばかりでなく、スポーツそのものの尊厳や価値も損ねてしまいます。
 日本では2001年に日本アンチ・ドーピング機構が設立され、国内での啓発活動を展開していますが、肝心なことは、選手やコーチ、監督自身がドーピングに関する正しい知識を習得して、毅然とスポーツの尊厳を守ってゆく姿勢を示すことだと思います。

※平成20年5月8日 東京新聞夕刊コラム「放射線」より転載