アスリートの食事学 Vol.4

2008/10/20




河谷 彰子



野菜も、もっと食べて欲しい!!

 健康維持のために食べておきたい野菜の目安量は年齢別に以下の通りです。

3〜7歳 :270g以上
8〜9歳 :300g以上
10歳以上 :350g以上
アスリート :700g以上


 たくさん身体を動かすアスリートほど野菜を食べる必要があります。
その理由の1つは、野菜に多く含まれているビタミンには、様々な役割があるからです。


役割 代表的な食品
ビタミンB1 炭水化物の代謝の補酵素として働く。
不足すると、集中力低下・疲労感や倦怠感などの症状が出やすくなる。
玄米/胚芽/豚肉/
レバー/牛乳/
豆類/緑黄色野菜
ビタミンB2 たんぱく質・炭水化物・脂質の代謝の補酵素として働く。
不足すると、口内炎が出来やすくなる。
レバー/肉類/
納豆/魚介類/卵/
緑黄色野菜
ビタミンC コラーゲンの生成に関与している。軟骨・結合組織の健在に保つ。
鉄吸収を促進(貧血予防)する。
不足すると、免疫力が落ち、風邪などにかかりやすくなる。
柑橘類/
野菜全般/芋類
ビタミンA 皮膚・粘膜を健康に保つ役割があり、風邪予防に役立つ。
目の健康を保つ。身体の酸化を防ぐ。
不足すると、目が乾燥しやすくなったり、胃腸の粘膜が傷つきやすくなる。
レバー/うなぎ/
牛乳/卵/
緑黄色野菜
ビタミンE 身体を酸化から守る。血液循環を良くする。
不足すると、冷え・肩こり・しもやけが起こりやすくなり、
さらにシミが出来やすくなる。
植物油/種実類/
緑黄色野菜



 緑黄色野菜とは






 色が濃い野菜が、緑黄色野菜です。
1日に必要な野菜の量の1/3〜1/2量が緑黄色野菜であることが理想的です。



 実際に、皆さんはどの位の野菜を1日に食べていますか?
大まかに知るための方法として“手ばかり” があります。


人参・大根・ブロッコリー・トマトなど、色々合わせて両手1杯が100g
ほうれん草など茹でてかさが減った野菜は、片手1杯が100g

 つまり、勝てるアスリートを目指すためには、
 ・両手に2杯

 ・片手に2杯
 ・両手に1杯+片手に1杯

 のどれかの量を、毎食食べることが理想的です。
 サラダ・具沢山味噌汁・煮物・野菜炒め・おひたし…色々な野菜料理がありますが、どのような料理でも構いません。

 よく『野菜ジュースを飲んでいるから大丈夫!』という方がいらっしゃいますが、野菜ジュースを飲んだからといって安心してはいけません!
 なぜなら、お腹を掃除する食物繊維(不溶性食物繊維)が十分に入っていないからです。
 食物繊維が十分に摂れていなければ、健康を維持することが出来なくなってしまいます。これでは、勝てるアスリートさえも目指すことが出来なくなってしまいますよね。
 最近は、色々飲みやすい野菜ジュースが売られていますが、飲みやすい理由は、果汁が入っているから。野菜ジュースのつもりが、果物のジュースをたくさん飲んでいるなんてこともあるかもしれません。

 野菜は、料理をする際や食べる際に使用する、油や調味料を除けば、食べ過ぎを気にしなくて良いです。疲労回復のためにも、たくさん食べていただきたいところです。

 色々な選手を見ていると、野菜が不足する選手は、
 ・脚がつりやすい。
 ・風邪をひきやすい。

 勝てる選手を目指すためにも、野菜はたっぷり食べたいですね。

河谷 彰子(かわたに あきこ)

株式会社レオックジャパン スポーツ事業担当 管理栄養士

〔経歴〕

1995年日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業

1997年筑波大学大学院体育研究科コーチ学専攻卒業

1997〜2006年3月株式会社タラソシステムジャパン入社
(海水中・陸上での運動指導や栄養カウンセリング、食サービスの提案を実施)

2006年4月〜株式会社レオック関東入社 同年9月にレオックジャパンに転籍
横浜FC栄養アドバイザー・横浜FCユース栄養アドバイザー
その他、YMCA社会体育専門学校にてアスレチックトレーナー育成講座『スポーツ栄養学』講師・慶応大学非常勤講師・さくら整形外科クリニックにて栄養相談などを行なう。

以下のコラムを担当しております。