アスリートの食事学 Vol.9

2008/11/25




河谷 彰子



忘年会シーズン、何を気をつけるか?



 “お酒はやっぱり良くないんですよね・・・”とセミナーの最後によく質問されます。
 お酒は、良くないと分かっていても、この時期は集まりごとが多くて、なかなかお酒を控えることが難しいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 飲みすぎないことも大切ですが、何を一緒に食べるかを少し気をつけるのは、予想以上に大きいのではないでしょうか?

焼き鳥・砂肝
1本 30g
38kcal ワイン

1杯 73g

73kcal
さきイカ
20g
55kcal 梅酒
ロック1杯 60g
94kcal
トロ
4切 60g
80kcal ビール

1缶 350ml

140kcal
マヨネーズ
大さじ1 14g
93kcal ウイスキー・ブランデー
ロックダブル 60ml
142kcal
焼き鳥・もも

1本 3g

95kcal 発泡酒

1缶 350ml

156kcal
フライドポテト
厚切り7本 70g
166kcal 日本酒

1合 180ml

196kcal
ピーナッツ
1握り 30g
176kcal 本格焼酎
アルコール25度

1合 180ml

262kcal
キスチョコ
8個
200kcal
から揚げ
4切れ 100g
300kcal

つまみには、脂肪が多すぎないものを選ぼう!

 油の消化吸収には、肝臓の働きが関わっています。
 アルコールの分解に大忙しの肝臓の負担を軽くするには、低脂肪の料理を選ぶことがポイントです。
 さらに、たんぱく質は、肝臓の働きを助けるため、積極的にいただきましょう。


or

 揚げ物よりも、焼き物を選ぶことが、低カロリーになるポイントです。揚げ物でも、衣の少ないものの方がエネルギー量が少ないですよ。串揚げよりもつくね、つくねよりもも肉、もも肉より胸肉です。

 サラダは積極的に食べていただきたい料理ですが、油の多いドレッシングが一緒に増えてしまっては肝臓に負担をかけてしまうかもしれません。
 ノンオイルドレッシングを選ぶと良いでしょう。

 寒いこの時期に鍋料理は、身体を温めてくれますし、野菜をたっぷり摂取できる料理です。
 雑炊やうどんで楽しむこともできますので、お腹にたまる料理としても是非、登場させたいですね。

お酒の強さと肝臓(身体)への影響は、無関係!



 体重60kgの人がアルコールの処理に3時間かかる量は日本酒1合 or ビール大瓶1本 or ウイスキーダブル or 焼酎0.6合です。
 お酒を飲んでもあまり酔わないと感じていたり、お酒が残らないと感じている方、つまり、お酒に強い方でも、アルコールの処理に6時間分のお酒が目安です。(つまり、睡眠中に処理できるであろう量)
 飲む頻度や量が多いと、肝臓はアルコール処理のために残業を繰り返してしまいます。このような状態が続くと、本来肝臓がやりたいこと(栄養の分解・貯蔵など)ができなくなってしまいます。
 アスリートに大切なグリコーゲンを貯蔵することも出来なくなってしまいますよね!
 飲む日が続く場合は、お酒の量にも気をつけましょう。


水分補給も忘れずに

 お酒と同じ量を水やお茶で飲もうと思うと難しいですよね。これは、アルコールには利尿作用があるため、体外に水分をどんどん排出するためです。
 アルコールは水分補給にはならないのです。むしろ、利尿作用があるため、体外に水分が排出されやすいのです。
 トレーニングで汗を流して、アルコールを飲んで…。
 普段より多めの水分補給をしていない状態が続くと、脱水症状を起こしてしまい、十分なパフォーマンスを発揮することが出来なくなってしまいます。
 理想は、お酒を飲む前にも水分補給をするが大切です。せめて、お酒を飲んだ後、寝るまでの間に水やお茶で水分補給を十分にしましょう。


 
お酒の席で、何をつまみに選ぶか?
今がトレーニングの時期としてどの時期なのか?
明日はオフなのか?
勝てるアスリートは、常に考えていますよ。

河谷 彰子(かわたに あきこ)

株式会社レオックジャパン スポーツ事業担当 管理栄養士

〔経歴〕

1995年日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業

1997年筑波大学大学院体育研究科コーチ学専攻卒業

1997〜2006年3月株式会社タラソシステムジャパン入社
(海水中・陸上での運動指導や栄養カウンセリング、食サービスの提案を実施)

2006年4月〜株式会社レオック関東入社 同年9月にレオックジャパンに転籍
横浜FC栄養アドバイザー・横浜FCユース栄養アドバイザー
その他、YMCA社会体育専門学校にてアスレチックトレーナー育成講座『スポーツ栄養学』講師・慶応大学非常勤講師・さくら整形外科クリニックにて栄養相談などを行なう。

以下のコラムを担当しております。