アスリートの食事学 Vol.22

2009/03/02




河谷 彰子



外食とコンビニ


 一人暮らしをしている方の中には、“コンビニは、私の冷蔵庫!! ”と断言している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 色々な選手から“外食はいけないんでしょう?”“コンビニばっかなんだけど、ダメだよね〜”と言われることがありますが、私は、コンビニ・お弁当屋さん・レストラン・などの飲食店・スーパーに頼る食事が悪いとは思いません。ただ、そこで、何を選ぶのか?家の冷蔵庫には何がいつも入っているのか?ここがまず大切だと考えています。
 皆さんは、どのようなお店をよく利用しますか?ファミリーレストラン?定食屋?ファーストフード?最近では、健康に気を遣っているお店も多いですが、勝つアスリートを目指すためにどのようなことを考慮していけば良いのでしょう?


栄養表示を見てみよう



 売り物やメニュー表に栄養表示をしているコンビニやファミリーレストランが多くなってきていますが、チェックをしたことはありますか?
 同じような商品と思っても、含まれる栄養成分が全く異なるということが良くあります。エネルギー量のみならず、たんぱく質量もチェックしてましょう。

VS VS

 余計な脂肪を付けたくないという方は、特に脂質に気を付けましょう。
 材料や調理法からどちらの方が脂質が少なく、たんぱく質が多いのかを判断すると良いでしょう。
 揚げ物 ⇒ 炒め ⇒ 焼き ⇒ 蒸し・生の順番で脂質が少なくなると判断したら良いですし、揚げ物でもフライ⇒天ぷら⇒唐揚げ⇒素揚げの順に脂質が少なくなると判断したら良いでしょう。




野菜はたっぷり


 外食やコンビニの食事では野菜が、不足しがちです。主菜の料理についている野菜料理の他に、もう一品野菜料理を付け足しましょう。生野菜のサラダでも、煮物などの温野菜でも構いません。疲労回復のために、ビタミンを豊富に食べることはアスリートにとって大切なことです。





飲み物は何を選んでいますか?


 最近のファミリーレストランでは、格安でドリンクバーを提供しているところが多いですが、皆さんは何を選びますか?何杯飲んでも同じ値段だからといって、ジュースをガブガブ飲んでいて良いのでしょうか?(Vol.12参照)

目安として、1kmのジョギングで消費するエネルギーは約100kcalです。

さっき身体を絞るためにジョギングしてきたけど、ジュースによっては帳消しになるなんてこともあるということですよね。
ハードなトレーニングから開放されたとき、何を飲みますか?
 オレンジジュース?スポーツドリンク?お茶?
 少しでも早く炭水化物やたんぱく質を摂取することは、持久力や筋力アップに欠かせません。トレーニング後に、最初に口にするものもトレーニングの一部であることを忘れてはいけません。
 暑い日であれば、暑さから水をがぶ飲みしてしまいがちですが、飲みすぎてしまえばお腹が膨れてしまい、食欲が落ちてしまうでしょう。
 外から体温を下げることも水分を飲み過ぎないための良い方法です。
 具体的には、トレーニングの一部としてラスト10分位はプールに入ったり、洗顔やシャワーを浴びたりなど、水で体温を下げることは、とても有効な方法です。
 どうしても食欲がわかないようであれば、初めに冷たいサラダから食べると食欲がわきやすくなりますよ。
 ジュースに糖分が多く含まれていると以前にお伝え致しましたが(Vol.12参照)、スポーツドリンクも同様です。商品にもよりますが、ペットボトルに入っているスポーツドリンクであれば、500mlには約砂糖20gに相当する糖分が入っています。ジュースやスポーツドリンクを控えて、お茶に切り替えたら、あと1膳のご飯が増えるかもしれませんよ。





家の冷蔵庫には、何が入っていますか?


 一人暮らしのアスリートと食事の話をしていると、“そんなにたくさん食べるためのお金が無い・・・”と言われます。果たしてそうでしょうか?携帯電話は月にいくら払ってますか?ジュースやお菓子にどの位のお金をかけていますか?・・・・
 自炊をすることは、一番安く食事ができる理想形ではありますが、その前にすることがあるはずです。
 “料理をしなくて良いものを冷蔵庫に常備しておく!”ここが大切です。卵・納豆・牛乳・ヨーグルト・バナナは最低限そろえておきたいところです。
 外食やコンビニで、主菜をたっぷりと食べることの優先順位を高く考え、家で乳製品や果物を食べるようにして、組み合わせることでアスリートとしてバランスの良い食事にすると良いでしょう。
 野菜も冷蔵庫に入れておいて欲しいところですが、まな板を出して野菜を切ることが面倒だというのであれば、外食で食べるようにしましょう。一人暮らしのアスリートの中には“野菜ジュースを飲んでいるから大丈夫!”と思っている方もいらっしゃいますが、そこがゴールではなかったですよね。(Vol.4参照)



 さらに気遣うことは、食事環境です。
 食事は本能の一つである食欲を満たすものでもあります。楽しく・美味しく食べる環境が、大切です。
 一人で食事をするよりも、気の合う仲間と楽しく食事をした方が、食欲も増しますし、消化にもとても良いです。
 ただ、そこで何を選ぶのか?そこが大切です。
 毎日のことでなければ、休日の前の日は羽目を外すようなことがあっても良いとは思いますが、今がその時なのか?少し考えて食事を選択することは、勝てる格好良いアスリートを目指すために、必要なことなのではないでしょうか。
 まずは、食事量を増やす必要がある方もいらっしゃるのでは?






河谷 彰子(かわたに あきこ)

株式会社レオックジャパン スポーツ事業担当 管理栄養士

〔経歴〕

1995年日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業

1997年筑波大学大学院体育研究科コーチ学専攻卒業

1997〜2006年3月株式会社タラソシステムジャパン入社
(海水中・陸上での運動指導や栄養カウンセリング、食サービスの提案を実施)

2006年4月〜株式会社レオック関東入社 同年9月にレオックジャパンに転籍
横浜FC栄養アドバイザー・横浜FCユース栄養アドバイザー
その他、YMCA社会体育専門学校にてアスレチックトレーナー育成講座『スポーツ栄養学』講師・慶応大学非常勤講師・さくら整形外科クリニックにて栄養相談などを行なう。

以下のコラムを担当しております。