アスリートの食事学 Vol.30
2009/04/27
河谷 彰子
● カロリーゼロの誘惑
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「炭酸ジュースには、砂糖がいっぱい入っているから身体に良くないのは分かっているけど、やっぱり飲みたい。では、カロリーゼロなら良いのか?」という質問をよくお受けします。
答えは、Yesでもあり、Noでもあり…ちょっと考えてみましょう。
通常の飲み物と同じように甘いのに、なぜダイエット・カロリーゼロになるのでしょうか?それには、使われてる甘味料に秘密があります。
● 甘味料と言っても、色々ある。
砂糖・ぶどう糖・はちみつ・水あめ・果糖などは、皆さんご存知の甘味料でしよう。
その他に飲料によく使用されている甘味料について挙げてみましょう。
甘味料の名称 | 原料 | 特徴 |
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アスパルテーム (アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物) |
アミノ酸由来の人工甘味料 | 砂糖の200倍の甘さ。 特有の後味があるため、他の甘味料と組み合わせて使用されることが多い。 ダイエット飲料に使用されている。 |
アセルルファムK | 酢酸を原料とした甘味料 | 砂糖の200倍の甘さ。 スッキリとした甘みが特徴。 アスパルテームなど、他の甘味料と組み合わせて使用すると甘みの質が砂糖に近くなる。 飲料の他、チューインガム・キャンディー・ジャムなどの幅広く使用されている。 |
スクラロース | 砂糖を原料とする唯一のノンカロリー甘味料 | 砂糖の600倍の甘さ。 水に溶けやすく、安定性に優れているため、広範囲の加工食品や飲料の甘味料として利用されている。 |
ステビア | キク科の多年草を原料とした甘味料 | 砂糖の200〜300倍の甘さ。 ダイエット食品によく使用されている。 |
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通常版の炭酸飲料は、そのエネルギーのほとんどが砂糖由来です。“ペットボトル1本分(500ml)は50gの砂糖”が含まれていましたよね(Vol.12参照)。
砂糖は1g=4kcalです。後ろに表示されているエネルギー量を4で割る(÷)と砂糖の量が換算できます。
表示の欄には、原材料名も記載されています。その中には、上記の表にあるような甘味料も書いてあるでしょう。どれも、砂糖と比較すると数百倍の甘さを持つ甘味料ですね。
● 飲みたいときは、一度立ち止まって考えよう。
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“ダイエット”や“ゼロ”などと表示されている飲料はこれらの甘味料を使用し、エネルギー量を低くしています。例えば、アスパルテームでは1g=4kcalとエネルギーは砂糖と同じですが、使用量が1/200と少なくてすみ、砂糖50gの1/200⇒アスパルテーム0.25g⇒1kcalとなり、エネルギーが大幅にカットできるのです。
太りたくない・やせたい…だけど炭酸飲料は飲みたい…というときには、カロリーオフの商品を選ぶのが賢明かもしれません。
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カウンセリングをしていると、食事に対して意識の高いアスリートでも、たまには炭酸飲料を飲みたくなる時があるようです。でもその“たまに…”という頻度は月に一度よりも低く、年に数回という程度です。この程度なら、カロリーゼロにこだわる必要はありませんよね。
また、あのシュワシュワ感を味わいときには、炭酸水(ガス入りミネラルウォーター)を飲むようにしているという話も聞きました。水であれば、虫歯の心配もありませんよね。
ダイエット・カロリーゼロなどの表示のあるものは、確かにエネルギー量が低い飲料ではあるのですが、いくら飲んでも良いというものではないと考えます。なぜなら、甘いものを飲みたいという根本的な習慣は変わらないからです。
お腹が空いていて、さらに喉が渇いている…というのであれば、ご飯に水やお茶が良いということは、皆さんもうご存知ですよね。
ダイエット飲料・カロリーオフやゼロなど通常のものと比較してエネルギーが低い飲料についても、飲む量とタイミング、そして頻度を考えてみませんか?
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