アスリートの食事学 Vol.32
2009/05/18
河谷 彰子
● 家族と同じ!らくらくアスリート献立のアレンジ方法
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アスリートへの食事アドバイスをお母様や奥様にすることがありますが、そこで問題になるのが“スポーツをしている人と家族のメニューを変えなくてはいけないのか? ”ということです。
そんなことはありません。
ぜひご家族みなさん同じものを召し上がってください。
では、どのようにアレンジしたら良いのでしょうか?
● アスリート向けに、たんぱく源のボリュームアップ
アスリートは、運動していない人と比べると体重あたり、1.5〜2倍のたんぱく質が必要となります。そこで、主菜の分量を変えることでたんぱく質量をアップすることができます。
例えば鶏のから揚げであれば…
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スポーツをしていないお母さんは 3つ
スポーツをしている子供は 7つ
メタボが気になるお父さんは 4〜5つ
といった感じです。
問題は1つ・1切れが決まっているおかず(厚切り肉や魚など)です。2つ・2切れなどと分量を増やすには多すぎるという場合は、他のたんぱく源を付け加えると良いでしょう。
例えば…
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ハンバーグ +チーズ・目玉焼き
焼き魚 +厚揚げ 一緒にグリルで焼く
煮魚 +豆腐 または 焼き豆腐
(ただし、鯖などの脂の多い魚は不向き。
鯛カマ、キンメ、カレイ、ギンダラなどあっさりした魚がお勧め。)
野菜料理にもたんぱく質源の食材をプラスして、スポーツをしている家族向けにボリュームアップを図る方法があります。
例えば…
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青菜のお浸し1 +納豆で納豆和え
青菜のお浸し2 +ちくわ・かまぼこ
サラダ +ゆで卵・ハム・豆腐のトッピング
味噌汁 +麩
● 家族向けにヘルシーアレンジ
運動をしていない方やメタボ対策をしたいという方には「スポーツをしている家族にはしっかり食べさせたいが、そうでない家族にはヘルシーにしたい」という課題もあります。
そこで見ためのボリュームは同じでもエネルギーダウンができるヒントもお教えしましょう。
例えば…
ポテトサラダ | ||
ジャガイモをゆでて、マヨネーズで和える前に取り分ける。 ヘルシー仕様はマヨネーズを和えずに、かけて食べる。 ⇒具材が大きい方が、マヨネーズがからまりにくいためエネルギーダウンになります。 またつぶさずにマヨネーズをかけるだけのほうが、エネルギーダウンになります。 |
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炒め物 | ||
野菜の他に肉と魚介の両方を入れ、通常どおりに料理する。 ヘルシー仕様は野菜と魚介を中心に皿に取り分ける。 ⇒脂肪分の少ない魚介類を選ぶこともポイントです。 |
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餃子 | ||
通常どおりに“たね”を作り、ヘルシー仕様分を取り分ける。 取り分けた“たね”に、野菜(キャベツや白菜など)を足して皮に包む。 シソを引いてから“たね”を包むと、目印になって良い。 ⇒ “たね”にたくさんの野菜が入るため、1個あたりに入る肉の量を 少なくすることができ、エネルギーダウンになります。 |
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肉だんご | ||
通常どおりに肉団子の“たね”を作り、ヘルシー仕様分を取り分ける。 取り分けた“たね”を肉しいたけに詰めたり、レンコンに挟んでボリュームを出す。 ⇒“たね”を野菜に詰めたり、はさむことで、1個あたりの肉の量が少なくなることができます。 さらに、野菜でボリュームが出るため、見た目の満足感もあります。 |
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鶏肉入り煮物 | ||
煮物を作る際に、もも肉にプラスして、ヘルシー仕様に手羽元を使う。 ⇒骨付き肉は見た目にボリュームがありますが、可食部が少ないのでエネルギーを 抑えることができます。また食べるのに手間がかかるため、満足感を得やすいです。 |
家族が同じものを食べることは、たとえ食べる時間帯がずれたとしても「あれがおいしかったね」「これが食べられる季節になったね」などと話ができるので、コミュニケーションを図る上でとても大切です。
大人が美味しそうに食べれば、子供もつられて食べたくなるでしょう。
結果、好き嫌いを減らすことができるかもしれません。これこそ家庭でできる食育ですね。
親も子も、おじいちゃん・おばあちゃんと孫も、スポーツをしている人もしていない人も、家族はみんなで同じものを食べましょう。
それが子供の食経験を広げ、高齢者の食欲低下を防ぎ、家族みんなの健康に繋がるのです。
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話が大きくなってしまいましたが、「家族みんなが同じものを食べる」
作り手にとって、実はこんなに楽なことはありません。
楽をしながら家族に喜ばれる食事作りをしてみませんか。
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