アスリートの食事学 Vol.34
2009/06/01
河谷 彰子
● 子供の少しわがままな“食べたい!”にどう答える?
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先日、スポーツを頑張っているお子様をお持ちのお母様から以下のようなご相談を受けました。
「うちの子(幼稚園生)、朝はパンじゃなくっちゃイヤだって言うんです。でも、旦那はご飯が良いって言うし。両方作るのは面倒くさい・・・」
さて、どうしましょう?
栄養価から考えるとどちらでも良いのですが、スポーツ選手にはやはり「ご飯」をお勧めしています。それは、腹持ちが良いことと、和洋中どんなおかずにも組み合わせしやすいことが挙げられます。
1.“パンは食べやすい”を解決しよう!
朝食を食べていることが大切だという話しは以前にお伝えしましたが(Vol.26参照)、朝食を食べてます!と胸を張っている方の中にも朝食の内容を聞いてみると、菓子パンだという方も多く見かけます。
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パン好きな子ども達はこのような感想を持っている方が多いのではないでしょうか?
甘い菓子パンはたっぷりの脂肪分が使われていることも多く、炭水化物源とは言いづらい食品です。また、甘さが強くおかずと組み合わせるのが難しいので、勝てるアスリートを目指すためのバランスの良い食事には入ってこないアイテムでしょう。あくまで、デザートとして考えたほうが良いと考えます。
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子供の手軽に食べたい気持ちに答えるには、
手で食べられる⇒おにぎりや海苔巻きにしてあげる
おかずが無くても食べられる⇒どんぶりスタイル、ワンプレートにする
など工夫するのも一つでしょう。
お母様が朝食にもう少し手をかけられるのであれば、焼きおにぎりを薄く作ってサンドイッチ・ハンバーガー風に作るのもアイディアの1つです。
ワンプレートの代表料理に“カレー”がありますが、カレーに含まれるスパイスの中には脳内血流量を増やし脳の働きを良くするものがあるとも言われ、朝食にカレーを食べる“朝カレー”も静かなブームなんですよ。
甘いから食べたいという気持ちには、果物やジャム入りヨーグルトなどで満たしたり、菓子パンをデザートという位置づけで登場させるのは良いかもしれません。
2.栄養バランスが崩れそうを解決したい!
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このお母さんの気持ちには、パンを主食にすると栄養バランスが崩れそうという心配があるようでした。
パンが主食の朝食メニューといえば、目玉焼きやオムレツ等の卵料理に、ソーセージ、サラダ・・・といった感じでしょうか。
確かに、ご飯が主食なら、納豆や焼き魚、煮物なども食べられるので、献立の幅が広がり、栄養バランスも整えやすくなります。
さらに、準備する側の気持ちとしては、ご飯とパンの両方の主食を用意するとなると、栄養バランスを考え、それぞれに合わせたおかずを作らなくてはならず、負担が大きくなり、面倒だということもあるでしょう。
でも、実はパンはひじきやきんぴらなどの和風惣菜とも相性が良いんですよ。そのまま乗せたり挟んだりするだけで、自家製和風惣菜パンになります。チーズやマヨネーズをプラスするとより食べやすくなります。以前、ご紹介した納豆トースト(Vol.31参照)も、意外と美味しいですよ。
こうして、幅広いメニューにパンを組み合わせるには、食パンやフランスパンなど、甘みのないシンプルなパンが良いでしょう。
栄養バランスを整え、食事作りの負担を大きくしないために、お子さんと以下のような約束をしてみるのはいかがでしょうか?
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食事は、家族みんなの食がすすむように工夫することは大事ですが、やりすぎて、一人一人に対応する必要はないのです。
特に、小さな子供の場合、単なるわがままの場合もあるかもしれません。
家族と一緒のメニューを食べることが食育であり、将来の味覚の広がりにつながります。
また、個食(家族一人ずつが別々のメニューを食べていること)が起こらないためにも、パンを食べたがる子供には、朝食用のパンを買いおきしないのが一番かもしれません。
あ〜、忘れちゃった〜なんて、忘れてしまったフリをするのはいかがでしょう。
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また、親子で
給食がパンの日は、朝食ではご飯を食べる
試合が近づいたらご飯を食べるように切替える
などの約束事を決めるのも一つの方法です。
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パンがいけないのではなく、パンばかりだとこんなことが心配と伝えてみてるのは必要なことです。
子供の少しわがままな“食べたい!”には、子供の気持ち・親の思いの両方をすり合わせることで、解決の糸口が見つかるかもしれませんね。
勝てるアスリートには、ご飯が一番だということも合わせて伝えたいところです。
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