アスリートの食事学 Vol.35
2009/06/08
河谷 彰子
● 飲むサラダ“ガスパチョ”
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もう少しで梅雨入りです。そして暑い夏がやってきます。
夏場に試合が多く組まれているというアスリートも多いでしょう。
そして、練習量が増えるという方も多いでしょう。
勝てるアスリートを目指すために、気を遣いたいのが食欲を落とさない食事の工夫!
その一つとして“まず、冷たいサラダから食べ始める”のもお勧めです。
今回は、とくに身体を調整するビタミンを豊富に含んでいて、さらに火を使わない野菜料理をご紹介致します。
4人分の材料・分量 | ||
トマト(よく熟れたもの) もしくはトマトピューレ キュウリ 玉葱 パプリカ(赤) 生パン粉 オリーブオイル ニンニク 塩・胡椒 パセリ お好みで タバスコ・レモン汁 |
5個 (800g) 1本 小1/2個 1/2個 1/2カップ 大さじ2 1片 少々 少々 適宜 |
(1人分 エネルギー:184kcal たんぱく質:5.0g 脂質:9.1g) 作り方 キュウリ・セロリ・パプリカ(黄色)を角切りにしたものをトッピングとしてのせると、見た目も華やかになって、食欲をそそります。 野菜をミキサーにかけるだけの簡単料理です。 |
1.トマトは、夏が旬!たくさん買ったときには、冷凍保存!!
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ガスパチョの主材料であるトマト。都内にはトマト専門店ができるほど、その種類は豊富です。夏には八百屋の店先で、安い値段でかご山盛りに積まれて売り出されることも多くなるでしょう。
調理をしてもしなくても美味しく食べることができる、手軽な野菜です。赤いトマトが1切れ添えてあるだけで料理の彩りも良くなり、美味しそうになりますね。
安くて美味しそうと、山盛り買ったは良いけれど、やっぱり食べきれないという場合は・・・
なんと!トマトは冷凍可能です。丸のまま凍らせて、使うときに冷凍庫から出してしばらく置くと、自然に皮がむけます。つまり、トマト料理を作る際の湯むきの手間が省けます。少量ずつ使いきれるなどの使い勝手を考えるなら、ざく切りにして保存バックに入れ、空気を抜いてなるべく薄くして冷凍しておくと良いでしょう。
2.アスリートの味方、リコピンで活性酸素抑制・美白!
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トマト特有の栄養成分はリコピンです。
リコピンは赤い色素成分ですが、様々な生活習慣病の原因となる活性酸素を抑制する作用(抗酸化作用)が強いことが特徴です。
活性酸素は激しい運動によっても生じるので、アスリートにとってもリコピンは大事な栄養成分といえるでしょう。
さらに、紫外線によって生じるメラニン(日焼け・しみの原因)の生成を促進する活性酸素を消去するとともに、メラニンの生成に必要な酵素「チロシナーゼ」の働きを抑えます。つまり、屋外で練習するアスリートにとっては、しみの予防としても嬉しい栄養素です。
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また、リコピンは骨粗鬆症予防の栄養素としても着目されています。リコピンはカロテノイドの一種であり、骨吸収(古い骨を溶かしていくこと)を抑制し、骨芽細胞の働き(新しく骨を作る働き)を高めることが動物実験ですがアメリカで報告されています(Am J Clin Nutr. 2009; 89:416-24より)。骨密度が気になるアスリート、とくに長距離選手にもトマトは嬉しい食材と言えそうですね。
クエン酸は柑橘系の果物に含まれることが知られていますが、野菜の中ではトマトに多く含まれています。炭水化物(糖質)と一緒に摂ると、身体への糖質の取り込みが高まるのでスタミナアップをしたいアスリートにお勧めですね。
急に暑くなったなぁと感じる日は、意識して水分を補給しましょう。忘れてならないのは食事そのものも、水分補給になるということ!
梅雨の間に突然気温が高くなった日や、梅雨明けの蒸し暑い日などは特に注意です。
飲むサラダ“ガスパチョ”で水分補給とビタミン・ミネラル補給をしつつ、食欲もキープしましょう。
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