アスリートの食事学 Vol.36


2009/06/15




河谷 彰子



食事はメリハリが大事!


 「○○選手はファーストフードが好きらしいね」「○○選手は焼肉屋で肉ばっかり食べていたよ」など、管理栄養士として関わっていると、選手本人からだけでなく、選手を知る回りの方々からも色々な情報が入ってきます。
 「食事管理はアスリートの基本」と思っているからこそ、アスリートらしからぬ食事内容に興味をそそられるのでしょう。
 テレビなどのマスコミで、よく食べると有名なトップアスリートもいらっしゃいますが、たくさん食べるからこそ、厳しいトレーニングがこなせているのだと感じます。
 たくさん食べる食事の内容がバランスがとれている選手もたくさんいますし、試合前など身体を絞らないといけない時期は食事を控えめにしている選手もいるなど、上手にコントロールしているアスリートもたくさんいらっしゃいます。
 そこで感じることは「食事もメリハリが大事だ」ということです。
 毎日ファーストフードや焼肉ばかりでは困りますが、家族や友人との付き合いで食べることもあるでしょうし、選手本人が食べたくなることもあるでしょう。
 普段の食事管理がしっかりできていれば、たまのジャンクフードも問題ないのです。
 カロリーゼロの誘惑(Vol.30参照)でも触れたように、「たまに」の頻度が問題ではありますが。

1.大切なのは、状況判断!

 さて、あなたが考えるアスリートらしからぬ食べ物とは何ですか?
 ファーストフード? スナック菓子? 炭酸飲料?
 魚より肉が好き?甘いものには目がない?
 良くないと分かっていても、なかなか変えられない嗜好は誰でもあるでしょう。
 まずは、それを食べたいと思ったときに、

   食べても良い状況か?  やめておいたほうが 良い時期なのか?

を、考えて欲しいです。

 レースや試合を明日に控えているとき

 焼肉や生クリームたっぷりのケーキは食べても良いのでしょうか?
 どちらも脂肪分が多いから、答えは×
です。
 試合前は、炭水化物を中心に摂り、脂肪の摂取は控えることが大事でしたよね。(Vol.10参照)
 食事前に、ジュースや甘いものも×でしたね。これは血糖値が上がり、身体が十分にエネルギーが入ってきたと勘違いし、その後の食事が食べられなくなってしまうからです。


 大きな大会を終えて一息つけるときなら
 焼肉やケーキも○でしょうし、食後の楽しみとしてならジュースや甘いものも○でしょう。

 食べたい!と思っても、今はそれが許される状況なのかどうかの判断が勝てるアスリートにとって大切ということです。


2.偏りは早めに修正!

 今は食べても大丈夫だと判断した場合であっても、やはり食事内容が偏ることが考えられます。偏ったなと感じたら、なるべく早く調整するようにしましょう。
 可能であれば、食事の予定が決まったところで、その前までの食事で調整するのです。

 「今夜は焼肉を食べに行く」 
      ⇒朝食・昼食は魚をメインに+野菜もたっぷりと食べる。
 といった具合です。

 突然予定が決まったなど、事前に調整できなかった場合は後で調整します。
 やろうやろうと思っているうちに、忘れてしまうのが人間・・・なるべく早く、忘れないうちに調整するということが大切です。
 予定が立て続けに入らないように組むことも大切です。頻繁に誘われたときには、断る勇気も必要かもしれません。

3.代わりになるものを探す!


 「スカッと炭酸ジュースが飲みたい!」というときに、水やお茶を勧められても、ちょっと違うんだよな、シュワシュワの感じが欲しいんだよなと感じますよね。炭酸ジュースの変わりに、炭酸水を飲むという選手もいらっしゃいます。
 「これが食べたいけど、アスリートとしてふさわしくない」と思ったときには、自分が納得できる範囲で、代わりになるものを探してみるのも良いでしょう。

 例えばこれからの暑い季節、

 ・アイス1 ⇒ 果物を凍らせたもの
 冷凍バナナは、アイスキャンディのようで美味しいですよ。
 冷凍する時は、皮をむいてラップに包んで冷凍しておくと良いです。


 ・アイス2 ⇒ フローズンヨーグルト
 そのまま凍らせてもシャリシャリとして美味しいです。
水切りしてから凍らせると濃厚になり、アイスクリームに近い味わいになります。
 水きりの方法はザルにクッキングペーパやガーゼを敷いてヨーグルトを入れ、冷蔵庫の中で30分〜一晩置いて作ります。時間によって、水分の抜け方が違うので、自分好みの時間を探してみましょう。
 少量の場合は、コーヒー用のペーパーフィルターとドリッパーを使用しても簡単にできます。

 ・ポテトチップスの代替 ⇒ 野菜チップス・海老せん・薄焼きせんべいなど

 さて、アスリートの皆さんは、何が食べたくて、何を代わりに食べるのでしょう?


4.アスリートならではのこだわりを!

 アスリートは、基本的に何を食べても構いません。アスリートだって、好き嫌いや無性に食べたくなる瞬間もあるでしょう。食べたくなったものが、アスリートらしからぬ食べ物だとしても、ご褒美として食べたり飲んだりする機会を作るのは悪くないのです。
 ただ「今はこれは食べない」「解禁は試合後!」など、アスリートならではのこだわりを持って欲しいところです。
 そして、あれが好き・これが嫌いのトップアスリートの発言・行動は、良くも悪くもファンである子ども達に影響を与えます。良いこだわりを持って食べるようにしているなども伝わるようになると嬉しいですね。


 肉は鶏肉だけ・卵は白身だけというこだわりを持つストイックな選手もいらっしゃいます。

 食事はアスリートの身体を作るものであると共に、リラックスして楽しむものでもあります。これを食べたから勝てる!というジンクスを持っていて、健康被害を引き起こす心配などがない限り、私は反対しません。

 トレーニングだけでなく、色々なこだわりを持っているからこそトップに立てるのかもしれないと思うからです。

 しかし食事は「エサ」ではなく、楽しみであることも忘れないでください。

 トレーニングにもオンとオフがあるように、食事にもある程度のオンとオフがあっても良いのです。

 ぜひ、我慢と開放のメリハリを持って、食事を選んでくださいね。






河谷 彰子(かわたに あきこ)

株式会社レオックジャパン スポーツ事業担当 管理栄養士

〔経歴〕
1995年日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業
1997年筑波大学大学院体育研究科コーチ学専攻卒業
1997〜2006年3月株式会社タラソシステムジャパン入社
(海水中・陸上での運動指導や栄養カウンセリング、食サービスの提案を実施)
2006年4月〜株式会社レオック関東入社 同年9月にレオックジャパンに転籍
横浜FC栄養アドバイザー・横浜FCユース栄養アドバイザー
その他、YMCA社会体育専門学校にてアスレチックトレーナー育成講座『スポーツ栄養学』講師・慶応大学非常勤講師・さくら整形外科クリニックにて栄養相談などを行なう。

以下のコラムを担当しております。