アスリートの食事学 Vol.37



2009/06/29




河谷 彰子



夏ばて予防の食事


 じめじめとした暑い日が続くようになると、皆さん食欲が落ちがちになるでしょう。
 アスリートにとっては、体力が落ちてしまうことにもつながりかねないため、そんなときこそ食事をどう摂るかが、夏ばてを防げるポイントになると考えます。
 暑くて湿度が高くなると、食事も冷たいものやのど越しの良いものを好んだり、脂ギトギトのこってり系よりもあっさりとしたものを食べたいと思うことが多いでしょう。
 食事量も減りがちになり、トレーニングで消費したエネルギー量を補給するのが難しくなり体重がどうしても落ちやすくなります。そこを何とか食い止めるためにも、少しでも食欲が湧くように、工夫したいものです。

1.最初にサラダを食べてみよう!

 お勧めなのが、最初に冷えたものから食べること!例えば、冷えたサラダがその代表でしょう。

 これは、中から身体を冷やすことができ、不思議と食欲が湧いてきて、サラダの後に食べる食事内容が普段と変わらないものでも、たくさん食べることができるという選手を多く見かけます。


2.偏りは早めに修正!

 食べやすい冷たい麺類であれば、冷し中華のように麺類の上に卵・ハム・野菜など、色々な具材を乗せることで、炭水化物のみならず、たんぱく質・ビタミン・ミネラルを摂る事ができます。
 麺は、うどん・そば・素麺・中華麺・冷麺・パスタと何でも良いです。
 つるつる・さらさらっと麺だけすすって終わりというよりも栄養のバランスが良いですよね。


 米は白いご飯で食べるよりも、ちらし寿司・炊き込みご飯・丼物など味をつけた状態にすると時期を問わず、美味しくいただける料理です。
 特に、丼は主食に主菜が乗った炭水化物とたんぱく質を一緒に食べる料理。実は、この組み合わせは味の相乗効果があるので、それぞれを別々に食べるよりも美味しく感じることができるのです。
 きっと日本人が寿司や丼物を好きな理由は、ここにもあるのでしょう。

 香辛料で味にアクセントをつけるのも、食欲を増進させるために役立ちます。カレーは、年齢を問わず人気の料理ですが、キムチもご飯がすすむ食材となります。豚キムチを丼にして豚キムチをご飯の上にのせても良いですね。

 さらに、ご飯と麺、パンとパスタなど、主食を何品か組み合わせて食べるようにすると炭水化物がたっぷりと摂れて良いでしょう。

3.食事環境も大切!

 暑い日は食事環境も整えられると良いでしょう。
 練習後にさっとシャワーを浴びることで汗を流してさっぱりすると食欲も湧いてきます。
 シャワーを浴びる環境が整っていない場合は、顔や腕や脚など、洗えるところを洗うだけでも、さっぱりするので効果的です。(Vol.17参照)
 そして食事場所の湿度・温度にも気を遣いたいところです。
 ただし、クーラーがきき過ぎた部屋も良くありません。
 暑い所と涼しすぎる所を行ったり来たりしていると、自律神経の調節が上手くいかなくなってしまうからです。クーラーの室温設定は25℃までにしましょう。エアコンはクーラーよりも除湿モードにすると涼しく感じますよ。
 風通りが良いように、窓を開けたり、うちわで扇いだりすることも夏ばて予防につながります。

 そしてくれぐれも、食事前にジュースのガブ飲みやアイスを頬張り過ぎないように気をつけてくださいね。ますます食欲が落ちてしまいますよ。


4.食事も立派なミネラル・水分補給!

 夏場を除き、1時間半未満の運動であれば、水分補給は水でOKと説明していますが、するとミネラルの補給が心配という質問を受けます。
 ご飯は半分、野菜や果物は約90%が水分です。
 野菜をサラダで食べるときは、ドレッシング等を使用するでしょうし、汁物であればだし汁の中に塩分が入ることでしょう。食事をすることは、食材からの水分だけでなく、汗で失われた塩分も補給することでもあるのです。

 トレーニング後のお腹が空いている時であれば、おにぎりがお勧めです。
 おにぎりを作るときには塩を使うでしょうし、海苔を巻いてあればミネラルも補給できます。さらに、梅干しは防腐作用もあるので、夏場のおにぎりには最適です。
 梅干しには、クエン酸も含むため炭水化物との組み合わせで、練習後のスタミナアップにもつながります(=グリコーゲンローディング)。

 糖分を含むスポーツドリンクは勿論ですが、喉が渇いたからといって、運動後に水分を摂り過ぎてしまうと、食事をしっかり食べられなくなってしまいます。
 トレーニング中に適切な量の水分を摂っているかは、運動前後に体重を測定すると分かります。その差が体重の2%未満であれば良いでしょう。

 屋外屋内を問わず、夏の練習は大変でしょうが、さらに勝てるアスリートを目指すために、トレーニングをした後の食事のみならず、口に入る全ての食べ物に気を遣いたいですね。
 暑さに負けず、食欲を湧かす工夫を取り入れ、しっかり食べる習慣をつけたいものです。





河谷 彰子(かわたに あきこ)

株式会社レオックジャパン スポーツ事業担当 管理栄養士

〔経歴〕

1995年日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業

1997年筑波大学大学院体育研究科コーチ学専攻卒業

1997〜2006年3月株式会社タラソシステムジャパン入社
(海水中・陸上での運動指導や栄養カウンセリング、食サービスの提案を実施)

2006年4月〜株式会社レオック関東入社 同年9月にレオックジャパンに転籍
横浜FC栄養アドバイザー・横浜FCユース栄養アドバイザー
その他、YMCA社会体育専門学校にてアスレチックトレーナー育成講座『スポーツ栄養学』講師・慶応大学非常勤講師・さくら整形外科クリニックにて栄養相談などを行なう。

以下のコラムを担当しております。