トップアスリートに聞く食事学 Vol.10



2010/05/18




河谷 彰子

平子 美佐江(ひらこ みさえ 旧姓:武田)

1943年10月22日生
北海道幕別町出身
1968年フランス・グルノーブル冬季五輪(スピードスケート500m・1,000m)に出場。北海道からの女性オリンピック第一号選手。
高校卒業後に、株式会社三協精機製作所(現:日本電産サンキョー株式会社)に所属。
五輪直後の全日本選手権で引退、郷里に戻り旧帯広ヤングセンターに勤務。
現在は帯広スケート連盟理事・スピード部副部長。又、市内の少年団“緑クラブ”で4歳〜6年生の育成を行なっている。
ソルトレーク冬季五輪スピードスケート五千メートルの平子裕基選手(23)は甥にあたる。

香川 真由美(かがわ まゆみ)

1974年7月16日生
北海道足寄町出身
1993年世界ジュニア選手権代表。1998年長野冬季オリンピック(スピードスケート500m)の補欠に選出される。
現在、足寄町教育委員会にてスポーツ振興・選手(小学生〜中学生)の育成を行なっている。

 前回に引き続き、スピードスケートのお二方のインタビューです。
 
皆さんの中で、スポーツ科学に関する色々な情報に戸惑ったことはありませんか?
 また、その情報に飛びついてしまったことはありませんか?情報が手軽に手には入るからこそ、十分に精査する必要があるのではないでしょうか。情報に振り回されていないか気になるところです。

平子さん:平 香川さん:香で記載しております。

4.時代と共に選手の考えやチームの雰囲気も変わった。


①練習内容

平:

昔は短距離選手だって1万メートルのトレーニングをしていて、オールラウンドだった。合宿の時の練習は半端じゃなかったよ。香川さんの時代は、短距離と長距離としっかり分けて練習していたけどね。


香: 平子さんの頃は今の練習時間と比較して2〜3倍も長いですよ。


平: 短距離選手でも3000mの練習だってしたのよ。短距離と長距離と分けなかったのは、トレーニング環境の違いがあるのよね。ウエイトなどの道具や場所が無い分、長野で合宿なら登山をするとか練習に色々工夫をしました。そのおかげか、今の子よりも持久力はありましたよ。今の子は、短距離だったらそれだけだから、短距離の選手は3000mを走れないと思う。それは、短距離は短距離の筋肉にしてしまっているから。


香:

時代の変化に伴って選手は、より良い道具を求め、それに頼っているように感じます。今回のバンクーバーオリンピックではお二方がメダルを獲りましたけど、そこから下の世代には大分開きがあるので、食の部分も含めて見直さないといけないんじゃないかと個人的には思うんですよね。
さらに選手暦の長い選手が頑張っていますが、長く続けられている選手っているのは、道具に走らずに基本的なことを積み上げてきた世代の方々のように思います。
一方で20代の方々はスペシャリストは出てきてますけれど、全体的に継続している人はそうそういないですよ。

平: 本当にそれを感じる。今は、選手一人か二人にコーチが一人ついている。それなら強くなるはずですよ。昔は何十人の選手にコーチ1人だったんだもん。


香: その何十人から這い上がっていくんですもんね。


平: 人の良い所を盗んで身につけていた、そういう時代だったんです。


香:

私がジュニアだった頃の中国や韓国は、お金持ちの人しかやっていなかったんです。でも日本がスピードスケート選手を強化してメダルをとれるようになっているのを見て、15〜6年前から選手を強化するようになったんです。その結果が今回のバンクーバーオリンピックなんです。日本が5(銀3・銅2)に対して、中国11(金5・銀2・銅4)や韓国14(金6・銀6・銅2)のメダル数は本当に多かったですもんね。
日本はメダルを獲れていたから、強化費がどんどん削減されてしまった。ごく一部の選手にだけに強化費を集中させしまったために、底辺の拡大強化をここ最近していない。そういうことが選手の選手寿命が短くなったり、怪我が多くなっているのではないか感じる。
今回のオリンピックを見ても、岡崎選手と高木選手のように年齢が離れている選手が同じ舞台に立っている。この2選手の間の年齢層が育っていないということなんです。
高木選手が、ずば抜けて早い強化された選手というわけではなかった。たまたま中学生にちょっと早い選手がポンッと出てきただけのこと。岡崎さんや田畑さんのような選手寿命の長い、強化された強さを持つ選手が引退してしまったら、世界との差がもっともっとついてしまうように感じます。

スポーツをするのには、本当にお金がかかる。スピードスケートの場合だと、年間約1,000万。金銭面で、競技を続けられない選手も出てきてしまいます。
今の全日本の強化合宿だと、選手一人にコーチ一人。選手10人に10人の指導者がついていくお金はある。そうではなくて、指導者一人に選手を何人かつけることでコーチの削減した分、栄養だとかストレッチについての指導をして、子供達が帰ってから他の子供達やチームに伝えてもらった方が良いんじゃないかと思うんです。お金のかけ方、かける場所が本当に必要なところなのかと感じることはあります。

②先輩後輩の人間関係

平:

私達の時代は上下関係がとってもある中で指導されてきた。
練習後、喉がカラカラでお水を飲むのでも、先輩より先に行くと怒られる位。
食事は皆が食べ終わらなかったら、ご馳走様しないの。
5〜6年位経ってベテラン選手になってくると、自分の嫌いなものを“コレやるぞっ”て、後輩にあげたりね。
若い選手の場合、嫌いで食べられないものがあっても食べ終わらないとご馳走様ができない。だから、お腹が空いている食事の初めのほうに食べなきゃいけないっていう決まりがあったの。食事時間が終われないから、お腹が空いている内に早く食べろと周りに言われたんだよね。

上下関係が厳しかったから、下積み時代の3年間は常にびくびくよ。下積み時代は、合宿行ったら起床係で皆を起こさなきゃいけない。皆が起きる前にカタカタ音がしたら叱られるから、目覚ましもかけられずに、時計と睨めっこで毎日ドキドキしながら朝を迎えていたわよ。だから、寝ていられなかったのよね。先輩は怖かったよ。


香:

平子さんの時代には厳しい上下関係があったから、強い身体が備わっていたんだって感じます。食べられない先輩からの回され物を食べて、それを肥やしに、たくましくなっていって今がある。私より平子さん世代の方は年が上ですけど、松葉杖ついてるとか、病気しているとか、そんなのないですもんね。

私達の頃は平子さんの上下関係が厳しい時代から、だいぶ和らいできていました。先輩方の脈々と続いていた厳しい上下関係を後輩の視点から見ていて、それはどうなのか?と疑問を感じていた下の世代が、これはやめよう・あれも無くそうと、だんだん変わっていったんです。そして、その結果が今なんですよね。

平:

今は見ていて、先輩・後輩の上下関係がない。やっぱり先輩後輩が無いっていうのはダメね。第一、挨拶がちゃんとできてないもの…だらしなく感じるわね。私達の時代、上下関係は厳しかったけど、その代わり今でもちゃんと久しぶりに会っても挨拶するし、親しみがある。色々な世界大会で再会するときなんか、懐かししすごく良いです。“おー元気か!”なんて声をかけたり、かけられたり。
昔だったら先輩後輩というのがあって、さらに交流があったけど、今は全く無いというか、挨拶でさえ途切れる。今の若い選手なんかはお互いに先輩なんだか後輩なんだか知らないと思う。挨拶だけは、絶対にやって欲しい。挨拶が無いっていうのは、先輩にしてみたら可愛くないっていうか、何と言うか・・・。挨拶ができないと、強くはなれないよって言うのよね。やっぱり礼儀作法よね。


香: 平子さんの世代の方が、これだけ頑張ってきてくださったので、サンキョーはこれだけ継続して頑張れているんだと思いますよ。昔からスピードスケートをやっている会社は今は2社しかいませんものね。

河谷のコメント:
 どんなにスポーツ科学が進歩して最先端のトレーニング方法が開発されたとしても、食事を楽しむ・食欲を満たすということは、ヒトとして忘れたくない要素だと感じます。そして、食事に早道はないと考えます。早道をすれば、どこかにひずみが来てしまうでしょう。
 時代が変わっても、食卓を囲む風景、大人から子供・先輩から後輩へ引き継ぎたい文化や習慣は脈々と引き継いでいくべきではないかと思います。

5.アスリートと食事

平: サンキョーは職員用の食堂があって、そこに栄養士がついていたんです。スケート部はそこで食事をしていましたが、普通の寮の食事におかずを一品多くしてくれたり、野菜・豆・ひじきとか色々バランスが良いように特別食を作ってもらっていたんです。
それに、霧が峰とか蓼科…色々な場所で合宿するときには栄養士がついていたよ。
だから意外とあの当時は一番良かったんじゃないかな。お金も裕福だったから。
食事は栄養士の作ったメニューだから、全部食べなきゃいけなかったのよ。
私はもともと、赤身肉や乳製品はそんなに好きじゃなかった。でもサンキョーに入ってからは、毎晩、血のしたたるような赤い肉を食べさせられて、さらには牛乳も瓶(200ml)で1日に3〜4本を強制的に食べさせられたんです。

蓼科で合宿した時は、食事がアスリート用のメニューじゃなくて肉不足だったからすっごい太くて大きいハムを背負って持って行ったわよ。そして、そのハムを分厚く切って食べさせられたのよ。私は、またその肉が嫌でね〜。でも食べないと体力がつかないし、練習について行けない。やっぱり食事は大事ですよ。

香:

平子さんの時代のお話をここまで詳しい話を私自身初めて伺って、ただ強くなるための練習をするんではなくて、強くなるためには、それなりの源があったんだなと思います。栄養士がついている企業なんて、なかなか無いですよ。
私は建設会社にいたんですが、サンキョーのように栄養士がいる環境じゃなかったですよ。だから平子さんのお話しを伺って、ビックリしているところです。私の所属していたところでは、栄養士がいなかったので栄養については選手が独学で食事について勉強しなければならなかったです。


一度高校生時代に、全日本クラスもしくはトップから20番位を集めて、強化選手としての強化合宿をして栄養士の栄養学の話を聞いたことがあります。
 “何が大切でどういう物が身体にとって良くないのか”
 “試合前には、パスタが良い”
 “ラーメンはタブー”
 “クロワッサン・ポテトチップスは油が多いので、体重を気にしているのならやめておこう”
 “牛乳も飲みすぎは脂質の摂り過ぎになりますよ”
などの話を眠くなりながらも聞いていたことを覚えています。

夏にはカルガリーで合宿を高校生ながらにもやっていたんですけれど、スケート連盟の栄養士が同行して、トップ選手の場合は、朝から心拍や脈拍を測って、どういう食事をして、カロリーが間に合っているのかなど分析していただいて。

指導者になって感じることは、食事は大きな割合を占めている部分もあるから学生達は実行した方が良いということ。でも今の学生達はやっていないんですよね。
今は、スポーツ栄養に関する講習会などはあるんですかね〜。
色々な所に遠征に行ったときなんかは、泊まったホテルでは食事がどうにもならないことも多いので、そういう場合は近くにあるそこそこのお店を見つけて何とかするとかしないといけないんですよ。

平:

あら、そうなの?サンキョーは、そうじゃなかったね。

香:

だから、食事に関しての知識がないと、ただお腹に入れれば良いやと思っちゃって、栄養補助食品だけで終わらせちゃうなんて選手も最近はいるんですよね。そうなるとパフォーマンスが全然向上しないんですよね。

平:

そうよね。それじゃ、ダメよね。栄養補助食品は、悪いもんじゃないけど、試合の前なんかに、たまには良いけどね。3食の食事の変わりにしちゃダメよね。あくまで補助的よね。

香:

子供の体力を向上させるためには、私は根性論よりも何よりも食事だと思っています。

平: 身体が資本だからね。

香:

夏場の暑い日に頑張ってトレーニングしているからと思って、ジュースを買って行くことはあっても、糖質が多いから普段は止めておこうとか、カロリーオフにしようなどと私は考えています。でも間違った知識を持っていらっしゃる保護者の方々だと、たっぷり甘いジュースやスポーツドリンクを凍らせて飲ませていたりすることがあるんですよね。子供のためだと言わんばかりに。

平:

そういうところあるね。

香:

親御さんの中には「何故うちの子は成長が遅いんだろう、背が伸びないんだろう、体重が増えないんだろう…」と心配するケースがよくあるんです。
そこで子供達にどういったものを口にさせているのかを聞いてみると、練習後、お腹がすいたからとまず1口目に口にするものはお菓子なんですよね。すぐご飯を用意できないからとお菓子を食べさせるんです。いざご飯ができたよとなっても、お菓子でお腹がいっぱいになってしまって、全く子供は食事を食べることができない。
そうではなくてコンビニでも良いから、

“練習後すぐはおにぎりを食べさせてあげて下さい。”
“飲み物も、運動終了後は炭酸ではなく糖質の少ないものを飲ませて、身体の足しになるものを補ってください。”

あと、朝起きてご飯を食べないのなら、
“ご飯を食べる30分前に起こすと胃袋が落ちつくので、それから食べさせてください”
“4〜5食とかこまめに食べさせてあげてください。”
などと私自身、子供たちに携わる立場として、伝えたいと思っています。

それにしても、いつから栄養士がいなくなったんでしょうね。
強い選手を作るためには、組織的に、しっかりとした栄養学を勉強させないと、いけないんじゃないですかね。紙で渡しただけでは読まないですし。栄養学が大切だと言っても、必要性を感じてない方もいらっしゃいますもんね。

私はシーズンの初めに、保護者の方にお願いをして子供たちと食事会を催すんです。そうすると、お代わりする子・しない子・肉を食べる子・好き嫌いのある子などをチェックできますし、食事中に今は筋肉を太くする時期だからこういう食事をした方が良いんだよとか話しをすることもできるんですよ。

保護者の中には、大会前日に焼肉食べに行くなんて間違った食事をしている方もいらっしゃっいます。そうすると、試合で子供がまったく走れなくて思いっきりぶん殴られているなんて姿を見かけますよ。私たちとしては、高校のとき習ったように、試合前日の夕食に重い食事(脂が多い食事)をしてしまうと消化が悪い。すると十分に消化ができずに朝食がしっかり食べられない。だから試合前はクリーンな胃袋(消化が終わった)状態が良いですよ、などと説明するんですけどね。それでも気合を入れるために大会前はやっぱり焼肉だ!なんていう保護者もいるんですよね

平:

試合前は、ちょっとお腹が空いた時に食べるようにバナナを食べれば良いから、バナナを持ってきなさいって言うんです。バナナで良いのよ。外国行ったって、オリンピックなんかでも、外国人選手はオレンジやバナナをカバンの中に入れて歩いているもんね。

河谷のコメント:
 コーチや保護者の方々には、「しっかり食べろ」「バランスがいい食事をしよう!」という漠然としたコメントではなく、もっと噛み砕いていて、“朝食にご飯をあと1膳多く食べよう!”“野菜を食べないと、疲れが取れないから、サラダを食べよう!”など、より具体的な言い方で伝えて欲しいと思っております。
 そして、巷で言われている食に関する情報の中には正しくないものもあるということを認識して欲しいなと思います。

試合に勝つでカツじゃない。
疲れたときのチョコレートじゃない。
疲労回復にオレンジジュースじゃない。

…色々とありますね。

6.コーチとして

香:

選手のレベルにあわせて、言葉を選んで指導するように気をつけています。ただ、姿勢を低くしろ!という指導ではなくて、“●●するため姿勢を低くなれ!”というように具体的に分かりやすく指導しています。時には、身体を使って説明しています。
練習の意図が説明しても分からないようであれば、中学生であっても小学生のように説明すると、非常に飲み込みが早かったりすることがあります。相手にあわせてレベルをあわせて、指導する必要があるんだと感じます。

食事であれば、今は選手に
“減量を考えるならカツなら衣を取る”
“試合前は炭水化物を多く摂る”
“筋肉を肥大させたい時は牛豚等のたんぱく質を摂ると良い。”
“レースはコンディショニングが大切なので、なるべく鶏肉を食べると良い。”
“野菜はビタミンも豊富だし、お通じを良くすると代謝も良くなる”

などと伝えています。

さらに、
夏場や秋口は豚肉や焼肉は多いに食べて良いよ。何故なら、筋肉を太くしているし、持久力もつけたいから。でもシーズンに入ったら、極力控えなさいって伝えます。
ある時、選手が“肉を控える”を“絶対食べちゃダメ”と勘違いしてしまって、保護者からすっごく怒られてしまったことがあるんです。“食べちゃいけないんじゃないんです。夏場は身体を作る筋力アップの時期なので肉を積極的に食べるのは良いけど、冬場は筋力アップをさせるようなトレーニングをしていないので、肉を食べ過ぎてしまうと身体を重くしてしまうだけになってしまうんです。だから、脂肪の少ない鶏肉とか炭水化物を中心に食べた方が良いんです。”って伝えたら、その保護者は“そんな食事方法なんていらない!”って言われちゃったんです。
スポーツ栄養はいらないって言いながら、そういう方ってエネルギーを補給するようなゼリーを用意したりするんですよね。トレーニング後にはこの栄養素をこのタイミングで食べるという情報に対してだけはきっちりしているのに・・・。

やはり、指導者が必要だと思って伝えていることでも、その情報を後押しする何か、例えば栄養士などからの情報が無いと保護者の方は確信を持てないがために、実践しないというのが現状で結構コーチとして辛い場面もあったりするんです。
栄養士も町にはいらっしゃいますけど、給食とか食育に関わることしか言わないので、アスリート向けの情報ではないんですよね。いつも厳しいなーと思いながら指導をしているんですよ。
栄養士なのに、アスリートの食事を知らない方が多いですもんね。それとか、太った栄養士に食事に関してあ〜して、こーしてと言われたくない・説得力無いじゃないかとアスリートに思われることもよくあるんですよね。だから、昔聞いたアスリートの食事についてのセミナーを思い出しながら、今は保護者や子供達に伝えています。
栄養士が、もっと競技者に歩み寄った方が良いのにと思う。そうすれば眠いセミナー・つまらない話というのではなく、もっと楽しく聞けたかもしれないと思う。

コーチの場合は、トレーニングのバリエーションを持っていたほうが良いのでは?と思うことがあります。
あるサッカー少年団がマラソン大会に出場する際に“ウォーミングアップするときにスパイクを履いてボールを蹴るという方法でやりたい。だから芝生の会場でボールを蹴っても良いですか?”と言われたんです。勿論断りましたけど・・・。
ウォーミングアップは自分達がやっている方法しか知らない。環境によっては、いつも履いているサッカーシューズから運動靴に変えて、状況に合わせてウォーミングアップをすることもを大切なんじゃないでしょうか。
そこのサッカーチームの子供達は、運動靴をあまり履かないせいか、自分の足のサイズより2〜3cm大きいのを履いているんですよね。ちょっと走ったら、脱げちゃっているんです。
コーチも保護者同様、情報に柔軟になってコーチしていく必要があるのではないかと思います。

私はコーチとして、色々な方々にスケートの楽しさを伝えたい。
今は仕事のメインがスケートの指導者ですが、子供達によっては学校を卒業したらコーチであった先生がいなくなったからスケートを辞めなくてはいけないという子もいる。そういう子供達が少なくなるように、初心者の方への指導をしたりなどとスピードスケートの底辺拡大に貢献できればと思う。
俺について来い!というタイプの指導者というよりも、自分のステージから一段降りた歩み寄る指導者が増えたらもっともっと競技人口が増えるのにと思うし、私もそういう指導者の一面も持っていたい。


河谷のコメント:
 子供達に、食事についてアドバイスするときは、“好き嫌いなく、残さず食べよう!”“朝ごはんを食べよう!”などというコメントではなくて、“●●を食べないと、●●になっちゃうよ。”“朝ごはんを食べないと、朝練で頑張れないよ”などと、子供達が今の問題点を解決したくなるように伝えることを心がけています。
 子供達がなりたい姿になるために、チャレンジ精神をくすぐるようなアドバイス方法は、とても有効です。これは、香川さんの言い方をお借りすると、“自分のステージから一段降りた歩み寄ったアドバイス方法”になるのかもしれませんね。

 大人は子供達にとって、様々な情報の交通整備をしてあげるべき人でありたいですね。
 平子様・香川様、貴重なお話しをお聞かせいただき、誠にありがとうございました。
 そして、インタビューの機会を作ってくださった帯広市体育連盟様の皆様、誠にありがとうございました。



河谷 彰子(かわたに あきこ)

株式会社レオックジャパン スポーツ事業担当 管理栄養士

〔経歴〕

1995年日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業

1997年筑波大学大学院体育研究科コーチ学専攻卒業

1997〜2006年3月株式会社タラソシステムジャパン入社
(海水中・陸上での運動指導や栄養カウンセリング、食サービスの提案を実施)

2006年4月〜株式会社レオック関東入社 同年9月にレオックジャパンに転籍
横浜FC栄養アドバイザー・横浜FCユース栄養アドバイザー
その他、YMCA社会体育専門学校にてアスレチックトレーナー育成講座『スポーツ栄養学』講師・慶応大学非常勤講師・さくら整形外科クリニックにて栄養相談などを行なう。

以下のコラムを担当しております。