トップアスリートに聞く食事学 Vol.21



2010/10/26




河谷 彰子

菅原 和紀(すがわら かずのり)

1982年7月14日生
フットサル日本代表選手。エスポラーダ北海道所属。
北海道旭川市出身
小学4年生からサッカー少年団でサッカーを始める。小中学生時代はサッカー一色で過ごし、旭川実業高等学校へ進学。3年時(2002年度)、副主将としてチームをけん引し、同校初の全国高校サッカー選手権に出場。
大学時代はサッカー部に所属していたが、社会人チームの先輩に誘われてフットサルを始め、全国大会に出場。愛知県代表に大敗した事をきっかけに、奮起。現在もエスポラーダ北海道の佐々木選手と“divertido S.S.R(現:D.C Asahikawa Futsal Club)”を結成。地域チャンピオンズリーグで2度の全国制覇を成し遂げ(2005/2007年)、MVPにも選ばれ(2007年)全国にその名をとどろかせる。
その後、Fリーグ(日本フットサルリーグ)参入を目指した『エスポラーダ北海道』へ移籍(2008年)し、キャプテンとなる。北海道フットサルリーグで完全優勝を成し遂げ、翌年のFリーグ参入後は、新規参入ながら堂々の第4位。
 フットサル日本代表に選出され『東アジアフットサル選手権2009』第2位。また、国際大会含め公式戦3得点を決める活躍をした。
現在2010シーズンもFリーグの舞台で活躍中。
日本代表でも貴重な左利きのフィクソ(センターバック・強力な舵取りをする重要なポジション)として期待されている。

エスポラーダ北海道オフィシャルサイト:http://www.espolada.com/
ブログ:http://ameblo.jp/kazu-suga/

 代表選手としての自覚・プライド、そしてファンの方々やチームに一心に応えようとする意気込みと前向きさを感じる菅原選手のコメントをうかがうことができました。こうのような前向きさが、強くなる秘訣かもしれませんよ。


1.人の技術を見て盗むのが得意なんです。

 元々は身体のケアとかあまり気にしたことがなくって、好きなスポーツをやっているって感じで適当にやっていたんです。
 でも、日本代表に選んでもらうようになってから“今まで通りにやっていてはいけない!”と思って、ちゃんと自覚を持って、意識しながらやるようになりました。チームの方や周りの方に、示しがつかないですから。

 特に、ストレッチや食事に気を遣うようになりました

 チームのウォーミングアップとは別に、自分でストレッチを15〜20分やるようにしています。きっかけは代表チームのアップ方法や、代表選手のアップ方法としてストレッチをやっている姿を見てからです。
 代表合宿に行って何も学ばずに帰ってくるのは意味がないというか、自分にとっても僕を選んでくれた方々や送り出してくれたチームに対しても失礼になってしまう。だから日本代表の合宿に行ったら、行っただけのものを吸収して帰ってきたいと意識しています。

 小学4年からサッカーを始めたんですが、チームではそれなりの主力でしたが、旭川の選抜に選ばれるか選ばれないかという位の、それほど強い選手ではなかったんです。そして中学では部活でサッカーをやっていました。その時、北海道選抜の選考会に行かせてもらったんです。そこでもやはり、上手い選手のプレーを見て色々と見て盗んでいました。人の技術を見て盗むのが好きというか得意みたいです。こういうことが、自分をプラスに上達させることにつながったのかもしれません。

 高校は旭川で強豪と言われた学校(旭川実業高等学校)に行って、1年生の時は先輩をよく観察して盗んでいました。遠征に連れて行ってもらったら、他チームや上手い選手との練習試合で学んだり、時には観察するだけという経験を積んでいるうちに、少しずつ成長してきたのかな?と思っています。

河谷のコメント:
 自分より優れている部分がある選手だなと思ったら、観察し分析し自分でもやってみる。強くなるための一つの方法ですね。
 
色々な選手の食事を私なりに観察して感じる事は
 
“朝食からしっかり食べている・好き嫌いが少ない・コミュニケーションをとりながら食事をしている”
という選手は、色々な意味でタフであると感じます。皆さんの周りにいる選手はいかがですか?

2.〝生活習慣・食習慣は家から〟が大切なんじゃないかなって思う。

 3月まである小学校の教員をやっていたんですけど、子供達には昼食の時『好き嫌いをするな!』って言っていました。『一口でも良いから』『半分でも良いから』と言って、食べさせていました。食べてもらえるように、好き嫌いシールと命名したシールを用意しておいて、虫が好きそうな子供には虫シールとかをあげていたんです。恐竜シールバージョンもあるんです。

 こうしてみた結果、僕が受け持った生徒は全員が好き嫌いなく全部の給食を食べることができるようになりました。この方法が良いか悪いか分かりませんけど、初めは無理やり食べて吐いてしまった子供でも、繰り返し食べている内に、食べることができるようになるんですよね。

 親になりたての僕が言うのもおこがましいんですが、昔に比べて親がだらしがなくなっているのかなって感じます。
 結局、学校で一所懸命好き嫌いについて取り組んでも、家つまり親が積極的に取り組まなかったら、きっとまた食べられなくなってしまうから駄目ですよね。食事のみならず、生活態度についても同じことが言えますよね。

河谷のコメント:
 何でもチャレンジすることが大切ですよね。そういえば、私も小さい頃、母のご褒美シールにつられて何かを頑張った記憶があります。なかなか菅原選手は子供のハートを掴むのが上手そうですね。
〝食育は家で行なうべきものではないか。〟これは私のモットーの1つでもあったので、菅原選手の考えに大賛成です。食べないから出さないではなく、食べなくても出す。皆が美味しそうに食べていれば食べたくなる日がいつか来る。だから、家族で食事をする回数を増やす努力をして欲しいのです。アンチ弧食・個食です!

3.夕食のとり方が課題。

 実は僕、ラーメンが大好きなんです。毎日、昼も夜もラーメンだって良い位。でもラーメンばっかり食べたら太るし、栄養が偏るから、色々考えながら食事をしますよ。何も気にしないで、食べたいものを食べていたらいけませんよね。

 普段の食生活についてお話しすると…
 昔から朝食は必ず食べています。普段から6時半頃に起きて、和食の日もあれば洋食の日もあると言う感じで、朝食は結構がっつり食べています。そして、昼食を普通に食べます。

 トレーニング前は、僕の場合は昔から食べていませんでした。プレー前は特にお腹を空っぽにしておきたいんです。だから食べても、バー状の携帯食とかゼリー飲料のようなお腹にたまらないような物を選んでいます。

 高校時代、部活の監督から『部活の後におにぎりを食べるために、おにぎりを持って来い!』って言われていたので、その頃から、トレーニング後(高校時代は夜の7時頃)に、炭水化物であるおにぎりを食べていました。そして家で夕食を食べていました。

 トレーニング後の食事は、やっぱり時間と内容に気を遣いますよね。ただ、今は調整するのが難しいんですよ。
 トレーニングが夜の9〜11時なんです。夕食を食べようと思うと11時を過ぎてしまう。僕は、太りやすい体質なので、遅い時間に食事をしたくないんです。だからトレーニング時間が遅い今は炭水化物をとったほうが良いのは分かっているけど、太ることを気にしているので食べたくないんです。

 さらに、トレーニング場所から家が1時間位かかるので、帰ると12時。一緒に通っているパートナーがいるんですけど、そいつはコンビニじゃ嫌だって言って、トレーニング後のその時間帯に牛丼屋とかレストランでたくさん食べるんです。一緒に食べることもありますが、僕はサラダだけ食べるなんてこともあります。

 サプリメントは、高校時代からハードな筋トレ後は飲んでいます。代表選手にプロテインでもリカバリー用というのを飲んでいる人がいたので“皆がやっているから良いのかな?”という程度です。飲んだら違うな〜というのは正直ないんですけど“皆がやっているから良いのかな?”とか“やらないより、やった方が良いのかな?”という感じで飲んでいる派です。

 食事については、これから色々勉強したり、試してみたいと思っています。

河谷のコメント:
 トレーニング後の食事の工夫として、2回に分けるという高校時代の方法は大正解!
 トレーニング時間が夜にかかるというアスリートの方には、是非見習うべき方法でしょう。
 そして、トレーニング終了時間が夜遅い場合の食事方法はどうしたら良いでしょう。
 解決策の一部として

1日のトータル量を確保するために、おにぎりなどの炭水化物を補食として夕方(トレーニング3時間前まで)に食べる。(つまり菅原選手の場合は、6時までに食べる。)
練習後のたんぱく質補給として、無脂肪や低脂肪の牛乳を飲む。
家に帰ってからは、エネルギー量の少ない食材である野菜を食べる。サラダの場合、ドレッシングはノンオイルにする。
油に気をつけたいので、揚げ物などは避ける。

 等があります。

 菅原選手には、情報源の1つとして“勝てるアスリートの食事学”をご紹介致しました。
 
強くなるための探究心、皆さんは誰を観察していますか?
 そして何を試していますか?


河谷 彰子(かわたに あきこ)

株式会社レオックジャパン スポーツ事業担当 管理栄養士

〔経歴〕

1995年日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業

1997年筑波大学大学院体育研究科コーチ学専攻卒業

1997〜2006年3月株式会社タラソシステムジャパン入社
(海水中・陸上での運動指導や栄養カウンセリング、食サービスの提案を実施)

2006年4月〜株式会社レオック関東入社 同年9月にレオックジャパンに転籍
横浜FC栄養アドバイザー・横浜FCユース栄養アドバイザー
その他、YMCA社会体育専門学校にてアスレチックトレーナー育成講座『スポーツ栄養学』講師・慶応大学非常勤講師・さくら整形外科クリニックにて栄養相談などを行なう。

以下のコラムを担当しております。