第2回 ドイツの競技スポーツの現状

【DOSBについて】 Mr. Ulf TIPPELT

 ドイツオリンピックスポーツ連盟(DOSB)は2006年にドイツオリンピック委員会(NOC)とドイツスポーツ連盟(DSB)が統合して誕生した。当セクションは4つの分野のひとつである競技スポーツを担当しており、競技スポーツに関する様々な内容を取扱っている。各スポーツ団体はそれぞれ独立しており、複雑な調整を行っている。


【DOSBの競技スポーツについて】 MR. Michael JOHN


◆DOSBの組織体系

 DOSBはオリンピック種目に関係なく全ての種目のスポーツを統括し、営利運営の各競技リーグとは接触がなく、独自で運営している。DOSBには4つの部門があり、インフラ・ストラクチャー、競技スポーツ、スポーツ発展、青少年スポーツに区分される。さらに、競技スポーツ部は、冬季オリンピック、夏季オリンピック、オリンピック強化拠点・スポーツ医学、スポーツ科学・オリンピック種目以外の4つに区分される。


◆財政

 プロ以外の財源は内務省が予算編成している(スポーツ省や、教育省は無い)。本来は州が管轄する分野であるが、競技スポーツは国際大会が中心で国を代表している側面から、国が負担するという発想である。競技団体が補助金を受けるためには、内務省やドイツオリンピックスポーツ連盟への申請が必要である。ただし、サッカーやスキーなどのメジャー競技は財政が恵まれているので交付の対象外となっている。補助金の調整は、強化部が担当。
 オリンピックの周期に合わせた4年間のサイクルで協定を実施し、毎年再査定が実施される。なお、競技スポーツのための国家予算は年間8,500万ユーロとなっている。


◆競技力向上のためのシステム

 関係団体として、ドイツスポーツ援護財団、種目別競技団体(1種目1団体に限定)、連邦競技力向上センター、スポーツ医学検査機関(28箇所)、トレーナーアカデミー、応用トレーニング研究所、スポーツ器具研究所、オリンピック拠点(19箇所)、エリートシューレ、アスリート寄宿舎、大学スポーツ組織、等が挙げられる。

また、ドイツには20のオリンピック強化拠点が存在する。

 オリンピック強化拠点の目的は、トレーニングのコーディネート、国際レベルとの比較測定、コーチの斡旋、対象地域の競技スポーツの調整等である。このオリンピック強化拠点のサービス内容は、キャリア計画、メディカルサービス、トレーニング方法、理療、メンタルケア、栄養サポート、等である。
 選手カテゴリーは、A(ワールドクラス)、B(国際試合上位)、C(ポテンシャルのあるジュニア、U23程度)、D/C(ジュニアで国内トップ)、D(U18)、タレント(ジュニアの発掘)に区分されている。コーチは、フルタイム有償コーチ325名(夏季五輪種目:245名 冬季五輪種目:80名)パートタイムコーチ315名(夏季五輪種目:250名 冬季五輪種目:65名)複数の報酬原資を持つオリンピック拠点のコーチ116名(夏季五輪種目:81名 冬季五輪種目:35名)の、3種類のコーチが存在する。


【事例紹介】 ギド・ヘーシュタルス

TVグローバルシュタット・ハンドボールクラブ

◆クラブ紹介
 TVグローバルシュタット・ハンドボールクラブは、1888年に体操クラブとしてスタートし(1925年からハンドボール)、ハンドボールはドイツチャンピオンを7回獲得している。傘下に株式会社のハンドボールクラブ、登録法人の体操クラブ、登録法人のハンドボール強化センター、財団の青少年育成支援団体があり、それぞれ独立の団体で構成され、それぞれが指標・ミッション・目的・ビジョンの4つの理念を持っている。
 クラブはバイエルン州であるがヘッセン圏に属する。530万人の商圏人口で、購買力が高い地域であり、ハンドボールは有名クラブトップ5に入っている。

◆ドイツにおけるハンドボールの動向

 2007年にナショナルチームがドイツで行われた世界選手権に優勝し、ハンドボール人気が高まり、3,280万人(ドイツ人口:約8,000万人)ものハンドボールファンが存在する。トヨタがリーグスポンサーとなっている。

 観戦分類傾向は、社会人、大学入学資格保有者、29歳以下、女性、既婚者が多い。観戦目的の傾向は、娯楽性、緊張感、闘争性、ダイナミック性が上昇傾向、凶暴性が下降傾向にある。スポーツTV中継の人気調査で1998年に16位だったが、2009年は3位に上昇している。TV中継が176試合あり、うち85試合がインターネットで中継された。企業のスポンサー意向では、サッカーに次ぐ人気である。TVの視聴も伸びている。

◆マーケティング手段としてのクラブ

 クラブをマーケティング手段として採用することで、クラブと共に、企業幹部との個人的なコンタクト・新しい対象グループの開発・ポジティブなイメージの伝達・ハイクラス感覚・強い認識度・広告のエモーショナル化・地域及び広域における存在感アップなどの目標を達成することができる。また、グローバルシュタットハンドボールクラブ(TV Grosswallstadt)では、海外におけるTVマーケティングを行っており、現在では世界30カ国で放映している。パートナーシップ・コミュニケーション・イベント開催・ホスピタリティー・青少年振興など、様々な協働の可能性が溢れている。


Mr. Ulf TIPPELT

ギド・ヘーシュル氏

資料編
ドイツの競技スポーツの現状

事例紹介 TVグローバルシュタット・ハンドボールクラブ