第6回 ドイツバレーボール連盟の組織・役割

【競技人口・クラブ数】

 バレーボール協会の登録者は、50万人弱で、サッカー協会の660万人と比べると、1/12ほどしかおらず、経済的にも、サッカーはバレーの100倍もの力を誇る。
 ドイツバレーボール協会の底辺は、クラブが成している基礎部分。5,100あるクラブには、大きな総合型クラブの中のバレー部門というのもあれば、バレーボールだけのクラブでバレーボール中心というのもある。全体で9,800の登録チームがあり、そのうち2,700のユーゲントチーム(ジュニア)がある。
 行政的には16の州に分かれており、選手たちは、いずれもクラブに所属し、それぞれが州の協会に組織化されている。リーグ戦は、4部までが連邦、5部から8部までが州に所属する。


【ドイツバレーボールリーガ】

 2006年から、「ドイツバレーボールリーガ」という組織が成立し(以前はバレーボール協会が直接関わっていた)それぞれのクラブと、権利と義務を決定づけた、4年契約を結んでいる。

それぞれの試合の主管はリーガだが、開催期間に関しては協会が決定する。リーガの約束事を変えるときにはバレーボール協会の同意を必要とする。
 ドイツバレーボールリーガは、ひとつの州、協会に相当し、18の州協会+バレーボールリーガによる総会をすることで、重大事を決定する。
 バレーボールリーガの会長は、協会の理事でもあり、審議権だけを持っていて投票権はない。バレーボール協会は、バレーボールリーガの理事にもなっている。しかし、それぞれのクラブがナショナルチームの利益と必ずしも一致しないため、協調路線と見えるだろうが 現実にはそう簡単ではなく、それぞれが、課題を抱えている。
 北と南に分かれた2部リーグ制で、強化拠点から出てきている4チームが、この2部リーグに加わっている。ただし、成績が悪くても、降格するということはない。また、ジュニアの世界選手権大会が奇数年に行われるので、大会前年には、ジュニアのナショナルチームがリーガの1部でプレーするように組まれている。日本の場合は、体育館を持っていないので、2年前にスケジュールを決めなければならず、こうしたドイツ的やり方が出来ない。この方法は、トルコや他の国でも取り入れられており、バスケットボールでもこの方式の採用が検討されている。


【ナショナルチーム】

 国際カレンダーが、シーズンを10月15日から5月15日に限定している。このことで、協会は、6ヶ月という長い期間にわたって、代表チームの世話をしなければならなくなった(合宿、試合、etc.)。また、メディアに対する露出する時間が極めて限られ、財政的な問題が生じたり、半年間クラブでリーグ戦を戦い、半年間代表として活動するという非常にバランスの悪い日程の中でやっていかなければならないという問題が発生した。


【メディア】

 サッカーはメディアにとって特別。サッカー以外は、トップリーグといえどもテレビで放映されない。メディアに関する、バレーボールの価値は、ボールゲームでは、4番目。サッカー、サッカー、サッカー、そしてバレーボールという順番。正直に言えば、ハンドボールが2番目、3番目はアイスホッケー、4番目がバスケットボール、ないしバレーボールとなる。下位の、バスケットボールと、バレーボールは、テレビに出てくるのではなく、インターネットに登場するだけ。将来テレビに進出する可能性がないわけでもないが、現状としては、スポンサーにつながるとはいえない。
 このように、メディアへの登場が少ないために、スポンサーとの関わりが極めて少ない。そこで、協会へ行政から多くの支援がある。具体的な金額は、220万(およそ26,400万円)ユーロが国から出ている。ヨアキム・レーヴ(サッカードイツ代表監督)は、800万ユーロをもらっているはず。


【歴史】

 サッカーは120年以上、バレーボールは60年。ドイツでは、ミュンヘンオリンピック以来盛んになってきた。


【Q&A】

Q:ここ数年、ドイツが強くなっているのは、ジュニアのナショナルチームの強化方法が功を奏しているのか?
A:1つの側面としては、このやり方が功を奏していると言えるが、もう1つは、優れた指導者が率いている点にあると考えている。男子は、アルゼンチン、女子は、イタリア人のコーチ。ジュニアは、オランダ人のコーチ(男女とも)。コーチについては、国籍は問題にしていない。アルゼンチンの監督は、英語もドイツ語もしゃべらず、イタリア語とスペイン語だけを話す。選手の一部が、イタリアでプレーしたり、他の言語をしゃべったりするため。アシスタントコーチはスペイン語と英語が話せる。選手は少なくとも、英語ができなければいけない。