アイスホッケーのために!そして、東北のために!
冬のスポーツの花形として、冬季オリンピックでは最終種目として行われるアイスホッケー。日本では、以前は東京にもチームがあり、幅広い地域で行われていましたが、不況の影響もあって現在は東京のチームはなくなり、2003-04年シーズンからは中国、韓国のチームも加えたアジアリーグアイスホッケーがスタートしました。
そのアジアリーグアイスホッケーに、初めて東北にフランチャイズを持つ、東北フリーブレイズが加入したのは2009-10年シーズン。2シーズン目となる翌2010-11年シーズンにはプレーオフの決勝まで進みましたが、第1戦前日に東北大震災が発生し、プレーオフは中止に。結局、決勝に進出した2チームがチャンピオンとなり、初タイトルを獲得しますが、その歩みは紆余曲折だったそうです。
今シーズンで4シーズン目を迎える東北フリーブレイズの代表取締役社長 中村考昭氏に2回にわたって、東北フリーブレイズのここまでの歩み、そして、アイスホッケー界、さらには、スポーツビジネスについても語って頂きました。
第2回は「中村考昭氏のスポーツビジネスとの関わりあい。そして、東北フリーブレイズの未来!」です。
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東北フリーブレイズの代表取締役社長 中村考昭氏はゼビオ株式会社の常務執行役員グループ新規事業開発担当兼事業開発部門長、そして、Jリーグ東京ヴェルディの取締役も務めていらっしゃいます。そこで、ご自身のスポーツ、スポーツビジネスとの関わりあいについてもお話し頂きました。
Q : 話は変わりますが、中村さんが初めてスポーツと接したのはいつですか?また、何の競技ですか?
東北フリーブレイズ 代表取締役社長 中村考昭氏 |
A:スポーツ少年団でサッカーを始めたのが最初です。小学6年になったとき家族でアメリカに行き、そこでもサッカーをやっていましたが、本格的にサッカーをやることについてはけがをして断念しました。日本に帰って来て中学からは水泳を始め、高校まで水泳をやりました。怪我も完治したので、大学に入ってアメフトを選んで、4年間やった後、社会人チームであるリクルートシーガルズで4シーズンの合計8シー
ズンプレーしました。
Q : スポーツビジネスに携わるきっかけは何だったのですか?
A:知人がスポーツビジネスを行っていて、一緒にやろうとなったのがきっかけです。Jリーグ、bjリーグも始まっていましたが、プロ野球の近鉄とかが消滅して、少し、スポーツ界が変わりかけていた時期だと思います。
Q : スポーツビジネスの形態は既存のものを求めたのですか?それとも、新しいものを目指したのですか?
A:新しい領域に入っていこうと思いました。行っていたのは、スポーツマーケティングコンサルティング、スポーツマーケティングエージェンシー、スポーツマネージメント、スポーツマーチャンダイズです。インターネット系のビジネスも行いました。既存のものとそのまま行うというよりは、ビジネスチャンスを広げていきながらやっていこうと思っていました。スポーツ界をスポーツ産業として成長成熟させたいという意識を思っていて、今もそれは変わっていません。
Q : スポーツビジネスを目指す学生に対して一言お願いします!
A:私もいろいろな人からこの世界に入りたいと相談されますが、スポーツを題材として仕事をしたいという志は大いに持っていいと思います。ただ、それだけでは足りません。そこに気付けている人は少ないと思います。例えば、自動車業界に入りたいと思っている人が、単に車のカッコよさだけを語っているだけでは、その業界には入れません。そこに入れるだけのビジネスパーソンと しての資質を身につけなければいけません。「個人の嗜好性の強さだけではビジネスにはならない。」ということを学生には理解して欲しいです。スポーツビジネスはどんどん高度化しています。何もないところからビジネスをしていかなければならないこともあるし、いろいろなものが絡んで複合化している部分もあります。業務難易度が高く、憧れだけでは出来ない職業だと思います。
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最後に東北フリーブレイズの未来についてお聞きしました。
Q : 「東北フリーブレイズ」!今後目指すのは、チームの優勝はもちろんだと思いますが、クラブとして目指すものは何ですか?
A:スポーツチームなので、いつも優勝を目指しているし、常に勝利を目指しているし、常にいい選手を育てたいと思っているし、常にチームとして最高のパフォーマンスを発揮したいと思っています。ただ、我々が目指しているのはそこだけではありません。スポーツチームとして優勝を目指すのは当たり前のことだと思います。優勝はどのチームも目指しているのでゴールではありません。地球上に住んでいれば、水が高いところから低いところへ流れるように、リンゴが木から落ちるように、当たり前のことです。全員が勝利や優勝を目指しているので、それだけでは不足していると思います。
我々が目指しているのは、アイスホッケーという競技の素晴らしさ、我々が提供する全ての素晴らしさを知ってもらい、感動してもらって、関わってもらって、さらにその上でチームとして経済的にも安定的に自立して存続していきたいと考えています。
Q : 「東北フリーブレイズ」!将来どんなクラブになってもらいたいと思いますか?
A:スポーツチームは社会文化公共財だと思います。いろいろな方が様々な形でステークホルダーになっています。独りだけの満足だけで
はいけないと思っています。例えば、経営として利潤を追求するだけでは駄目だし、選手だけが満足しても駄目だし、観客だけが満足しても駄目だし、華美な演出をして運営制作スタッフだけが満足しても駄目だし、審判だけが権威を振りかざして満足しても駄目だと思います。
全員の満足度が高まるようなバランスをどう取っていくべきかをチームが考えて実現していきたいです。
そして、それぞれのステークホルダーを満足させるのが大事だと思います。例えば、うち(東北フリーブレイズ)のチームはどんどん選手を外に出します。いい契約をしたら、その期間は選手を抱えておきたいと思うのが一般的なチームの考え方ですが、うち(東北フリーブレイズ)は海外挑戦制度というのを使って、選手をどんどん出しています。選手の支援金も月々出して、選手の海外挑戦を後押ししています。狭いチームの中だけでプレーするより、海外に挑戦する場も増えるし、活躍する場も増えると思います。
そして、そうなると、その選手がチームに残留していた場合には選手枠数の関係でプロになれなかった選手達の新たな雇用にもつながります。産業としても発展するし、いろいろなステークホルダーへの満足を提供できると思います。それが、アイスホッケー界への貢献にもなるし、目指していきたいです。
Q : 最後に「東北フリーブレイズ」のクラブアピールをお願いします。
A:我々は新しいチームだからこそ、いろいろチャレンジが出来ると思っています。守ることなく新しいチャレンジをしていきたいです。アイスホッケー界だけでなく、ウィンタースポーツ界、チームスポーツ界全体に、あのチームは面白いな、新しいことをやっているな、業界が変わって来ているなと認められたいし、それが、我々のチームの存在意義だと思います。ただ単にアイスホッケー好きが集まりアイスホッケーが楽しいからやっているということが、うち(東北フリーブレイズ)の存在意義ではないと思います。フリーブレイズの名前の由来は、自由に制約なく新しいものを切り開いていくという意味です。我々は自由自在に駆け抜け切り開いていくチームになりたいと考えてい
ます。
東北フリーブレイズ チーム情報 http://www.freeblades.jp/