常に地域とともにありたい
今回ご紹介するのは、横河武蔵野フットボールクラブです。
創部は1939年と現在のJFL加盟チームでは最も古く、2003年より横河電機の社内同好会から離れ、
武蔵野市のクラブチームへと運営体制を変更。日本サッカー界に新たなモデルケースを提示するべく、
クラブ運営にも選手・スタッフ、ボランティアスタッフ一丸となって取り組んでいます。
6月23日、ホームゲームが行われた武蔵野陸上競技場に脚を踏み入れると、
すぐに目に入るのがボランティアスタッフの皆さん。
学生さんからシニアの方まで、広い年齢層の方々が活躍されています。
その中から、ボランティアスタッフの小林瞳さん、
ボランティアの皆さんの司令塔である、
横河武蔵野FCのスタッフ歴5年、運営担当の高橋啓さんにお話を伺いました。
◇ ◇ ◇
ボランティアスタッフの小林瞳さんは、普段、武蔵野市にある職場で働いています。
Q : 小林さんがボランティアスタッフになったきっかけは?
「サッカーに興味があったんですが、ボランティアをやるつもりは最初はなくて、
ルールとかも詳しくは知らなかったんですが、横河のホームページを見たらボランティアを募集していたので、何となく。
地域に密着しているチーム、あまり大きなクラブじゃないところがよかったんですね。
去年のシーズンの終わりくらいから始めました」
Q : 小林さんのような一般のボランティアは何人いらっしゃるんですか?
「10人くらいだと思います。年齢層は私と同じくらいの方もいるし、上の方、下の人もいます。
チームのスタッフの方から連絡が来て、自分が行ける日に参加するという形です」
Q : 仕事内容は?
「今は記録です。その前は受付をやっていました。その他、ピッチまわりの仕事、場内のDJもボランティアの仕事です」
Q : ボランティアをやって良かったことは?
「とにかくサッカーを知ることが出来る点ですね。記録をやっているとそんなルールがあるの?という時があります。
なので、サッカーの見方が変わりましたね。
それと、普段は人に接する仕事ではないので、ボランティアをするのがとても楽しくなりました。
年齢層もバラバラで、仕事もバラバラの人が集まることは、社会人になるとなかなかないので面白いです。
なので大変だと思うことは今のところはないです。もっと参加したいですね」
Q : みなさんを拝見していると、とても生き生きとお仕事されていますね。
「そうですね。とてもいいです。
スタッフの皆さんも、ボランティアだからといって、線を引くことなく仕事をさせてくれるんです。
それに、仕事を私たちに任せてもらえるのでモチベーションも上がります」
Q : ところで、小林さんがサッカーを好きになったきっかけは?
「以前から日本代表は観てましたけど、Jリーグは観たことがなかったんです。
でも近所にFC東京があったので、観に行くようになったら、次の年にJ2に落ちちゃったんです。
その時、J2のアウェイ戦を観に行ったら、すごくアットホームで地域に密着していていいなと思ったんです。
私がスタジアムに行き始めた時、サッカーを観に行ったと周りに言ったら珍しいって言われました。
でもやっぱり、スタジアムに行くと全然臨場感が違います。もちろん、横河もみんなに宣伝していますよ」
Q : チームに期待することは?
「地域に密着したクラブでいてほしいです。これからもボランティアを続けて行きます!」
◇ ◇ ◇
この日の対戦は、我那覇やベテラン永井を擁するFC琉球。
2-2のドローで残念ながら勝ち点3をあげることはできませんでしたが、
試合後、子どもたちからお年寄りまで、選手のみなさんが地域の皆さんとふれあう「交流会」がありました。
◇ ◇ ◇
つづいては、ボランティアスタッフの皆さんの司令塔である、
横河武蔵野FCのスタッフ歴5年、運営担当の高橋啓さんです。
Q : ここの雰囲気、とてもいいですね。
「そうですか?ありがとうございます。多分、地域との距離が近いことが大きいでしょうね。
今日も試合の後に交流会をしていたんですが、ファンとの距離をどれだけ縮めるかが、
他のリーグとの差別化を図れる部分だと思うんです。
うちらもいいクラブなんだよとアピールすることが大事ですよね。Jリーグには勝てないけど(笑)」
Q : Q : 運営担当は何人いらっしゃるんですか?
「今は二人です。前は三人いたんですが、今求人しているところです。
(※求人情報はこちらをご覧下さい→横河武蔵野FCホームページ)
本当はもっと広げていかないといけないんですが財政的な部分もあるので。そこをうまくやっていくのも課題ですね」
Q : 運営の仕事を詳しく聞かせて下さい。
「私は統括的な仕事、全体的な流れを見る仕事です。試合のない日は事務仕事です。
スクイーズボトルを洗うのも自分だし、ボランティアに連絡するのも自分、HPを作ったりもしてます。
遠征にも帯同してます。広く浅くになっているのは問題ですが、今できる範囲で力いっぱいやってます。
練習場は事務所の目の前なので立地的には恵まれてますね。
元々、横河電機の同好会から始まっていて、地域に根差すためにNPO化しましたが、
クラブハウスや練習場も横河電機から借りてますし、スポンサーとしてバックアップしてもらっています。
28人の選手も半分が横河電機の社員なので、クラブチームとは違って、朝9時から19時まで仕事でその後に練習してます。
大変ですが、そのことを理解した上で、このチームに入っている選手がほとんどです。
去年は震災の影響で夜は練習出来なかったので、朝6時くらいから早朝練習をしてました。
横河電機の社員ではない選手の中にはもっと上を目指している選手もいるし、アルバイトしている選手もいます。
地元で働いている選手も多いです。ラーメン屋やホテルの飲食で働いたりしてます」
Q : 横河武蔵野FCはJリーグを目指していますか?
「目指していた時期もありましたけど、地域的な事情もありますからね。今は、いかにアマチュアで戦っていけるかを目指しています」
Q : 地域とはどのように関わっていますか?
「地元のお祭りだったり、地域のイベントには顔を出しています。選手ももちろんです。
うちは選手を出していきませんとね。試合前のサッカー教室もそうです。
試合後にはピッチを開放しているんですよ。子供とのふれあいも大事ですから。
近くにいるお兄さんという感じを出して、距離感を縮めるようにしています」
Q : 観客数は?
「観客動員は毎回1000人を目標にしています。今回は相手がFC琉球だったので、
吉祥寺・三鷹の沖縄料理屋やスポーツバーにチラシをまきました。
ただ、コアサポーターはいま一つ広がっていないんですよね。
逆に、10年前の地域リーグの時から応援している人が多くて、
『お前らどこに向かっているんだ』と言われることもよくあります」
Q : ボランティアスタッフのみなさんが生き生きとお仕事されてますが、どのようなつきあい方をされていますか?
「特別なことはやっていませんけど、こまめに連絡は取っています。
あと、今日もこの後あるんですが、半期に一度くらいボランティア会(懇親会)をやってます。
とにかく、コミュニケーションを取ることが大事ですね。
何かがあればクラブハウスに来てもらって、企画とかも出してもらってます。
ボランティア会の時にもいろいろな意見を吸い上げてます」
Q : 仕事の醍醐味は?
「地域の人達にチームが知られていくことが楽しいですね。そのことが実感できるのが面白い。
助けてくれる人も増えていますし、確実にそれを実感できるのが醍醐味ですね。厳しいことも言われますけど」
Q : 今後の課題は?
「人材をもっとうまく使って露出をしないといけませんよね。それは、スタッフだろうがボランティアだろうが、
うまくいけば大きなこともできますし、もっと細かいところにも目が届くと思います。
職員の面でも確かに予算面で厳しいですけど、もっと助成金などをうまく使っていきたいです」
中長期的ビジョンについては今みんなで模索しています。スタートに戻って、原点回帰で地域に戻ろうと。
地域の盛り上がりがあって、それが会社に反映し、それがまた市にもつながっていくという、
そういうことをみんなで話し合っています。地域をいかに盛り立てるか、いかに助けるかをみんなで考えています」
Q : チームのアピールをぜひ!
「まずは、試合を見に来てもらう。そして、見るだけでなく、参加することを目指したいです。
あらゆるイベントに参加できるんだ、ということをもっとPRしていきたいですね」
Q : 最後に、JFLの魅力とは?
「このリーグの魅力は<混在>していることです。クラブがあって、大学生もいて、Jリーグを目指すプロもいる。
その、混沌としたなかで戦っていく選手はかっこいいですよ!他では見られないサッカーが見れると思います」
☆横河武蔵野フットボールクラブ ホームページ