ホッケー日本リーグ

2012-8-14

「ホッケーのまち」のトップチーム

男子ホッケー日本リーグが9月8日(土)に再開、9月15日(土)からは全日本社会人ホッケー選手権大会も始まります。

 男子ホッケー日本リーグに参加するチーム「ALDER飯能」は秩父山地を臨み、入間川が流れる風光明媚な土地にあります。2005年、埼玉国体成年男子チームを継承する「飯能市ホッケークラブ」として創立され、2010年からはチーム愛称である「ALDER(アルダー)飯能」として活動しています。

 チームを率いる横田有司監督も、地元飯能市の出身。埼玉県立飯能高校でホッケーを始め、市役所のホッケーチームの選手として活躍、2004年の埼玉国体の翌年から監督を勤めていらっしゃいます。

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横田監督

Q : 2009年に日本トップリーグ連携機構のトップレベルスポーツクラブマネジメント強化プロジェクトのコンサルティングを受けられたわけですが、その後の経過を教えていただけますか?

「あれから3年近く経ったわけですが、2010年にアルダー(注:Alder=飯能の語源とも言われる「榛(ハン)の木」の意味)という愛称をつけたことも含めて、おかげさまで少しずつ動き始めています。フロントを設けてチームとクラブを明確に分けたことで、運営もしやすくなりました。現在は、会長、GM、事務局長が市内を回るなどの動きをしています。法人化については、ご指導もあったんですがまだ検討中です」

Q : 今後、改善していきたい点は?

「 選手のほとんどが市役所や消防、一般企業に勤めていて、仕事を終えた平日の夜に練習し、週末に試合という組織です。なので、まとまって練習ができない、また仕事の都合で試合に参加できないなどの課題はあります。また、遠征費等をどう捻出していくかという問題はありますね。今後は、スポンサーを増やしていくことやファンクラブについても考えて行きたいです。いずれアイデアとビジネスセンスを持った人材が獲得できれば嬉しいです。

 創立が2005年、コンサルティングを受けた翌年にアルダー飯能という愛称をつけ今の体制になったので、創立10周年の2015年にはまた何か事業を企画したいと思っています」

Q : チームの情報発信はどのように行っていますか?

「地元の新聞やFMチャッピー(注:飯能市に隣接する入間市のコミュニティFM局)での情報発信は行っています。試合情報だけでなく、選手の出演もチャンスがあればぜひやりたいですね。 ブログは保護者の方に作ってもらっています。 とにかく、あちらから来るのを待っていてはダメと言われたことがよくわかりました。

 とはいえ、なにしろホッケーは競技人口が少ないので、 外への発信はホッケー界全体の課題だと思います。オリンピックでのさくらジャパンの試合を多くの方がテレビで観て、興味を持ってもらえたらいいのですが。元々ホッケーは、皇室の方もされており、ロイヤルホッケーと言われていましたが、テニスや(秩父宮ラグビー場を持つ)ラグビーのように多くの人が親しむスポーツになれていないのが残念です。ホッケー界は硬派なので、選手をタレントのように取り上げることは難しいかもしれませんが、ホッケー界全体がマスメディアとうまく連携しながらやっていくことは必要だと思います」

Q : ロンドンオリンピックで男子代表は残念ながら出場できませんでしたね。

「そうですね。女子は2度オリンピックに出てますし、苦しみながらも勝てる力がついてきていますが男子はそういった点からはまだ経験が足りないんでしょう。でも今の日本代表の選手は、野球、サッカーのように、子供の頃からホッケーをやってきて相当の実力もついているんです。おそらく、国内の多くの選手がトップチームで活動を続けられないことが最大の課題なのだと私は思います」

Q : 選手が競技を続けられない理由とは?

「女子は企業チームが多いんですが、男子は大学のホッケー部や、うちのような国体チームを母体としたようなチームが多いんです。だから選手は職場の理解を得ながら競技をしています。そのような勤務先に就職できなければ、残念ながら競技を辞めざるを得なくなってしまいます。高いレベルの選手がトップリーグで試合を重ね、国内で切磋琢磨しないと、代表チームも強くならないと思います。選手が競技に集中できる環境が必要です」

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プラスチックなのに触ると固いボール。
「うちの子供たちは怖がってやらないんですよ」
と横田監督。

Q : 今後の目標を教えてください。

「私たちはまだ駆け出しですが、Jリーグのチームのように地元のみなさんに支援してもらえるチームに成長させたいです。企業さんに協賛を求めても『一つのチームにだけは出資できない』というところがまだあります。出資の理由が見つからないんですね。私たちにはトップチームだという自負はありますが、世間からまだ評価されていないのが現状です。もっと強くして、スクールも充実させて、存在を示すことで、どんどん応援してもらいたいです。

 それから、獲得した若い選手に長く競技を続けてもらうために、就職先の斡旋も積極的にやっていかなければなりません。指導者の立場からも、中学、高校と教えて来た選手たちが、大学を卒業するとやめてしまうというのは本当に辛いんです。彼らを迎え入れられる力を自分たちがつけていかなければなりません。これができれば自然とレベルは上がって行き、結果も出てくると思います」

Q : 飯能市には市民体育館に隣接して、夜間照明を備えた立派なホッケー場があります(阿須運動公園ホッケー場)。ホッケーのまち飯能の今後は?

「小学校から高校(注:女子ホッケー部は飯能高校、男子ホッケー部は飯能南高校)まで、子供たちはがんばっていますし、地元の駿河台大学にも男女のホッケー部があって交流しています。少子化が叫ばれて久しいですが、子供の数もここは多いので、もっとホッケー人口を増やしたいですね。ライバル競技も多いですが可能性はあると思います。

 また、お話のように飯能市は「ホッケーのまち飯能」というキャッチフレーズのもと、ホッケーのまちづくりを積極的に進めています。今後、行政との連携も更に深めていきたいです」

Q : 最後に、アルダー飯能の監督としてぜひチームのアピールを!

「今シーズンの新規加入選手である11番の北里謙治、8番の浅見恒に注目してほしいです。北里はロンドンオリンピック予選、南ア戦で1点を決めましたし、浅見もジュニア日本代表として活躍してきました。彼らには自覚を持って活動していってほしいです。

 それから11月に全日本男子ホッケー選手権大会が飯能で行われます。このところ出場できていないので、今年はぜひ勝って地元出場したいです」

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北里謙治選手の活躍に期待!

アルダー飯能 公式ブログ        http://alderhanno.blog.fc2.com

社団法人 日本ホッケー協会 公式サイト http://www.hockey.or.jp/