東京でも桜が咲き始めた3月29日土曜日。今年もプレナスなでしこリーグが開幕しました。ここ数年、INAC神戸レオネッサの強さが際立っていますが、今シーズンから大会方式が変更(*)になり、各チームとも気持ちも新たに優勝を虎視眈々と狙っています。
昨シーズン準優勝の日テレ・ベレーザの今シーズンの目標もずばり優勝!キャプテンとしてチームを率いる岩清水梓 選手、日本体育大学を卒業し古巣に戻った嶋田千秋 選手、高校生ながらASエルフェン埼玉との開幕戦で2ゴールを挙げた籾木結花 選手を開幕直前にお尋ねし、ベレーザのOGである当機構事務局の風間理佐がお話を伺いました。
(左から 嶋田選手、籾木選手、岩清水選手)
大雪でバスに19時間 !?
風間 2月の合宿、大雪で残念でしたね。(注:2月14〜15日、静岡にバスで向かう途中、大雪で東名高速が通行止めになり、全員19時間もバスに閉じ込められた。結局、27時間後、全員帰宅した。MF小林弥生選手もブログでその様子を伝えている。)
岩清水 あんなこと初めてですよ。
嶋田 大変でした。トイレとか(笑)
岩清水 そこは詳しくは言えませんけど(笑)運転手さんがエンジンをずっとつけていてくれたので助かりました。高速が使えないので下の道に降りたんですが、渋滞でまったく動かなくて。結局、「電車が動いた!降りろ!」ってバスを降りて、雪道を歩いて相模線で帰りました。クラブハウスを出て家に戻るまで27時間ですよ!ベレーザ史上初めてじゃないですか?
風間 結局、合宿できずにシーズンに入るということですね。
岩清水 はい。練習試合も2つ中止になりました。2月は週末ごとに大雪で。この2つは大事だよと言われていたんですが。
10代から30代まで。個性派集団の近況
風間 3月18日からやっと全員で練習できるようになったそうですが。
籾木 はい。一番少ない時はフィールドが10人しかいなくて、メニーナ(下部組織)から1人来てもらって、なんとか試合ができたということもありました。昨日の練習はきつかったです。ひたすら対人の練習で。
風間 新しい選手は2人ですか?
嶋田 3人です。私も入れて下さい(笑)
風間 どうですか?ベレーザに戻って来て。
嶋田 そうですね。メニーナの時に一緒にやっていた人が多いですからね。籾ちゃんまでは一緒にやってます。
籾木 嶋田さんは私が中1の時の高3です。
風間 こんな風に(年齢が)上から下までいるチームをまとめるにあたって、キャプテンとしてはどのように考えていますか?
岩清水 キャプテンをまかされて4シーズン目ですが、まだつかみきれていないですね。あまり考えすぎると自分のプレーができなくなりますから。まず自分のプレーがあって、その上でコミュニケーションもとりながらと思っています。個性の強い選手が集まっているので、うまく合わせながらやっていますが、特別なことはあまりやっていない気がしますね。
風間 嶋田さんはどうですか?
嶋田 (日体大を卒業して)ベレーザに戻って練習に参加した時、ずっとベレーザでやっていたみんなのレベルが高くなっていて、離されたな、と思いました。
風間 4年間いなかっただけで?
嶋田 はい。スピード感も個々のレベルも大学と違います。大学ではチームプレーで勝って来たところがありましたから、最初の1、2週間はスピードについていくのが大変でした。監督に毎日怒られながら(苦笑)
風間 籾木さんはいかがですか?
籾木 去年は出させてもらっているという感覚でした。いきなり(の抜擢)だったので自分でもびっくりしました。チームの人たちのスピードについて行くのに必死ででしたが、だんだん試合に慣れて行くうちにリーグの流れ、例えば二連敗した時とか、流れが大事だということを学んでいかなければならないと思いました。最後の新潟戦は勝ちたかったんですが、まだまだ力不足で、上の人たちに申し訳ないなと思っていました。
風間 なんかしみじみしちゃいましたね(笑)
岩清水 でもこういう場で聞けてよかったですよ。籾木は去年はずっと試合に出ていて、流れもわかったと思いますし、2年目で心強く思いますよ。結果につなげたいですね。
風間 今シーズンはどのようにチームを作って行くのかなと思っていましたけど、必死さが伝わってきますね。若い選手なりにがんばっているのを岩清水さんが支えている感じがしますよ。
若手によるゴールパフォーマンス、いつやる?
風間 今年からリーグの戦い方が変わりますが、どうですか?
岩清水 やってみないとわかりませんね。でもこれまで2試合だったのが最大4試合できるというのは、自分たち次第では結果が出せるかなと思ってます。
風間 試合が増える分、気をつけているところはありますか?
籾木 特にありませんが、最初の18試合戦って、例えば3位でも優勝を狙えるのは魅力的というか新しいなと思います。
風間 逆に1位でも最後には…ってこともあるけどね(笑)
三人 アハハ(苦笑)
風間 昨シーズンから全試合が有料になったり、来シーズンからは2部制に移行したり、リーグで改革が行われていますが、そうした変化を選手としてはどう見ていますか?
岩清水 根本的に、一試合一試合勝って行くということに変わりはないです。
風間 有料で観客に見せる側になるということで、これまでと違う点はありませんか?例えば、得点後のパフォーマンスも含めて。
岩清水 それはあってもいいと思うんですよね。Jリーグのパフォーマンスは面白いじゃないですか。広島とか浦和とか。やって怒られることもありますけど。
嶋田 その時の空気によりますよね。
岩清水 「こんなに大量得点しているのに」みたいな?
風間 そういうところも変わって来たら面白いと思うんだけど。籾木さん、どうですか?
籾木 恥ずかしくてそんな…
岩清水 そっちの二人(嶋田選手、籾木選手)ががんばらなきゃ。
風間 籾木さん、今シーズンのどこかで、考えておいて下さい。
籾木 え〜〜〜(苦笑)
岩清水 試合を決定づける90分近くの時とか、2-0の2点目とか。Jリーグのサポーターはそういうパフォーマンスも観たくて試合を観に来るじゃないですか。
風間 そうですね。選手たちから発信してくれることをサポーターは喜んでくれるし、観ている方も楽しいし。他の競技、例えば、バスケットとかハンドはせっかく得点しても喜ぶ暇がない。ピッチもピッチの外の人も一緒に盛り上がれるのはサッカー特有のものだと思うんですよね。自分たちの味方を増やすためにもやってくれると面白いと思うんですよね。でもみんな、そういう時だけシャイになっちゃうんだから(笑)
籾ちゃんは高校3年生
風間 ところで籾木さんは高校3年でしたっけ。
籾木 はい。4月から高3になりました。学校が終わってからこっちに来て練習するんですけど、テストの時は大変です。
風間 得意科目は?
籾木 意外と、化学とか物理とか。
風間 リケジョなんだ。受験はするんですか?
籾木 はい。一般受験じゃなくて、推薦のための内申点を取らなくてはならないのでテストの日の朝にひたすら勉強したりしてます。
岩清水 えらいですねえ。私はAO入試でしたからね。
嶋田 私もスポーツ推薦でした。でも教職課程はしっかり勉強しましたよ。
岩清水 私はちょうどオリンピック期間だったから、教職は3年の途中でやめちゃいました。2年の時、きつかったのに授業を全部受けたんですが。
嶋田選手の仕事
風間 嶋田さんはどこに就職したんですか?
嶋田 ポポラーです。(注:メインユニフォームパートナー「株式会社タスク・フォース」が経営している都市型保育園)日比谷の東京本部でサッカーの室内大会の内容を考えたり、サッカー教室を企画したり、ブログを書いたり。
竹中 (広報担当)彼女がコンテンツを企画して全国の幼稚園をまわったり。嶋田の活躍次第で職種が増える可能性があるんですよ。
嶋田 え?そうなんですか?
岩清水 すごいな。
竹中 彼女には、引退したらその道に進むことも期待されています。
風間 昨年、JTLのキャリア支援プロジェクトのアンケートに応えて頂きましたが、引退後の自分について考える事はありますか?
岩清水 いつも考えてますよ。多分サッカーの関係で仕事していくと思うんですが、結婚もしてみたいし。でも両立ができるのかなと考える事があります。自分がまだ知らない仕事がたくさんあると思うので、それが知りたいです。
ファンの皆さんに向けて
風間 それでは皆さんに、今シーズンに向けての抱負をお願いします。
嶋田 1年目なので、まずは試合に出られるようにしたいです。出たら点を取れるようにがんばります。
籾木 昨シーズンの得点は7点(カップ戦含む)ぐらいだったので、今シーズンは二桁はいきたいです。それから今年は絶対に優勝したいです。
岩清水 選手も昨年と大きく変わらずにシーズンを迎えられているので、今年は優勝という結果を出したいです。その方向に向かって一つ一つ試合を戦って行きたいと思っています。なんとしてもタイトルを取りたいです。
風間 最後に、ファンの皆さんに一言いただけますか?
嶋田 私のパフォーマンスを見せられるように、まずチーム内での争いをがんばりますので応援よろしくお願いします。
風間 次、籾木さん。俺のループを観ろ!みたいな宣言でもいいですよ(笑)
籾木 昨シーズンよりも成長した姿を見せられるようにがんばります。
岩清水 DFとしてはリーグ最少失点をGKの曽山と連携してやっていきたいです。試合を観に来てもらえれば、フォワードだけではなく守る方の戦いも面白いと思うので、ぜひ応援をよろしくお願いします!
風間 今日はお忙しいところ、ありがとうございました。
☆日テレ・ベレーザ ホームページ
☆日本女子サッカーリーグ「なでしこリーグ」 オフィシャルサイト
*今シーズンからの大会方式について
なでしこリーグでは、レギュラーシリーズで10チーム2回戦総当たりリーグ戦(18節)が行われた後、上位6チームが2回戦総当たり(10節)で行う上位リーグと、下位4チームが2回戦総当たり(6節)で行う下位リーグに分かれてリーグ戦を行い順位を決定する「エキサイティングシリーズ」が行われます。
チャレンジリーグは、前年度の成績により8チームずつ2ブロックに分け、総当たりリーグ戦(7節)を実施した後、もう一方のブロックに所属する8チームと1試合ずつ対戦(8節)、その後再び2グループに分かれて各チーム残りの試合(7節)を行い、年間順位を決定します(全22節)。
(なでしこリーグ2014 大会概要)