日本フットサルリーグ

2014-6-23

Fリーグ初参戦! 「今年のチームはどう考えてもおもしろい!」

 6月27日(金)に開幕するFリーグ2014/2015 powered by inゼリー。今シーズン、Fリーグに フウガドールすみだ が初参戦します。

 2001年、都立駒場高校サッカー部のOBが結成した「BOTSWANA」に、暁星高校サッカー部OBによるチーム「森のくまさん」が合流。チーム名を「FUGA MEGURO」に変更した翌年、PUMA CUP2009第14回全日本フットサル選手権大会で並み居る強豪を打ち破って優勝。その直後から「FUGA TOKYO」として墨田区を拠点に活動を開始し、2012年には「フウガすみだ」に改名して関東リーグ、地域チャンピオンズリーグを戦ってきましたが、今年、Fリーグ参入を機にチーム名を「フウガドールすみだ(FUGADOR SUMIDA)」に変更しました。

 チームを率いる須賀雄大監督に、第1節・第2節代々木セントラルを目前にしたご心境を伺ってみました。

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Q :監督生活は何年になりますか?

「厳密に言いますと、2005年、BOTSWANA時代に関東リーグに昇格した時、全員22

歳ぐらいの若いチームなので誰かがまとめないといけない、プレーヤーとして限界を感じていたし、社会人として仕事も決まっていたので、僕が舵を取ることになったわけです。ですから9年ですね」

Q : チームとご自身の近況をお聞かせください。

「Fリーグ参入が決まった時は、それまで苦労を重ねてきただけにすごく嬉しくて、自分たちがFリーグのピッチに立つ楽しさだけが先行して、ワクワク感が止まりませんでした。でも半年経って、率直にいうと恐さを感じています。勝ち負けではなく、これまで自分たちがフウガらしくやってきた部分が失われるのが恐いんです。そこは最低限守るべきことだと思っていて、Fリーグ参入を期待してくれていた人たちのためにも最も大事なことです。ただ、ずっと一緒にやっている選手たちは僕と同じだと思いますが、若い選手はワクワク感しかないんです。いい意味でバランスがとれていると言えます。彼らにはどんどん暴れてほしいですね。ベテランと若手が半々ぐらいなので、とてもいい雰囲気です。

 これまでは関東リーグ、地域チャンピオンズリーグとルーティンワークの繰り返しで、もちろん100%ででやってきましたが、どこかしらセーブするところがあったので、そのリミッターがはずれるのがFリーグだと思います。自分たちでも図りきれていない力があると思うので、それが見られるのは楽しみですね」

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©FUGADOR SUMIDA

Q : 監督ご自身とチームの、今に至るまでのお話を聞かせて下さい。監督は暁星(小学校〜高校)のご出身ですが、暁星にはサッカーの授業があるそうですね。

「はい。小学校から高校まで体育とは別にサッカーの授業があります。ちゃんとユニフォームを着てストッキングも履いて、ただの遊びでやってるんじゃない、というプライドを持ってやるという不思議な学校です。恩師である宮崎昇作先生が暁星にサッカーを根付かしたのだと思います。面白いのは、ガリ勉タイプの子までサッカーがうまいんですよ。体育でもサッカーをやらせてくれるので、特技を体育で学べるのはすごくいいことだと思います」

Q : 高校のサッカー部時代、監督にマネージャーへの転向を勧められたそうですが。

「高校1年の時、林義規監督から『選手よりも大事な仕事がある』と言われました。選手としては難しいという宣告にも近かったんで、がっくりしたところもあったんですが、自分の中に他にやりたいことも出て来ていたので引き受けました。林監督は人間力に富んでいて、こちらの身体を投げ出したくなるような方ですから、『お前が必要だ』という言葉は僕の気持ちを揺さぶりました。

 それに、サッカー仲間と同じ場所にいることが僕にとっては大事だったんです。当時は本当にバラエティに富んだメンバーが揃っていて、一年先輩に前田遼一(ジュビロ磐田)、同期にフットサル日本代表が2人(稲葉洸太郎、北原亘)がいますし、今では、公認会計士、医者、弁護士など、それぞれのフィールドで面白い事やってる人が多いので、その時の感覚は間違っていなかったと思います。

 当時は監督志望ではありませんでしたが、仲裁したりすることは好きで、うまくもないのにうまい人たちの中に入って行って、あれこれ言うことができたんです。今考えるとなぜそんなことができたんでしょうね。目立ちたがり屋なのかもしれませんが、みんなが気持ちよく仲良くやっている方がいいし、かっこいい集団でいたいと今でも思うので、それは変わっていないです。監督に向いているとは思っていないですけどね」

Q : 高校卒業後、フットサルを始め、チーム「森のくまさん」を結成されたわけですが、そのきっかけは?

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「推薦で大学が決まっていましたし、選手権も負けてしまって、何かやろうと言っていたところ『フットサルが熱いらしい』と聞き、早速大会に参加したんです。その時に結成したのが『森のくまさん』です。

 20歳ぐらいの頃、都立駒場高校OBのチーム『BOTSWANA』と試合したら、サッカーで国体に出ていた太見(寿人選手)がいたんです。こちらには北原(亘)がいて、すごい試合でした。最後は逆転で勝ったんですが、終わった後に急に仲良くなって『もう試合したくないな』と。普通だったら負けたくないと思うはずなのに、一緒に練習するようになったんです。理由はわかりませんが、とにかくすごいチームだったので、敵になるより仲間になった方がいいという防衛本能が働いたのかもしれません(笑) そんな感じで、公式試合は『BOTSWANA』、民間の試合は『森のくまさん』という形で合流したのが、いまのチームのベースになっています。

 フットサルは入りやすかったですね。監督もいなくて、みんなで井戸端会議のようにああだのこうだの言いながらやっていました。一度、フットサルをなめていると他のチームから言われたことがありました。僕たちが勝つために突き詰めていたことも、他のチームからすれば冒涜だと。でもそれは今考えても非常に理にかなっている、最先端だったのではないかと思います。何も知らなかったからこそのひらめきだったわけです。そのやり方は今も変わっていません。まず自分たちで答えをさがす。選手と話していればそこに答えはあると思います。ぶれそうになると、いつも自分の中に答えを見つけるようにしています」

Q : FUGA MEGURO時代、全日本選手権の決勝で強豪名古屋オーシャンズを破って優勝しました。勝因はどこにあったと思われますか?

「あの頃の名古屋オーシャンズは森岡薫選手やボラ選手が一つ目のセットに入れない位のレベルの高さだったので、よく勝てたなと思います。それでも勝てたのは勝つ事に徹したからでしょう。まだ日本一にもなっていない選手が過程にこだわっても、勝てなかったら意味がないんじゃないか、プライドは結果出してから考えようと選手に話しました。今からすれば、相手本意、相手ありきで、カウンターを合わせる不本意な戦い方でしたから、今は同じ戦い方をしても嬉しくないです。昨年の名古屋との対戦では、勝ち方にこだわろうということで、結果PKで負けましたが、2009年よりもプライドを持って戦いました」

Q : 2009年から拠点を墨田区に定めました。東京は地方よりも地域のつながりが弱いと言われていますが、いかがでしょうか。

「フットサルを全国に普及させ、見る文化として定着させることがクラブの理念の一つです。ただ、東京という枠組みはサッカーぐらいのボリュームがないと補完するのは難しいです。だからより小さなエリアでより深く根付かせるために、墨田区とやらせて頂いています。広さや範囲だったらFC東京や東京ヴェルディに負けますが、熱量は負けたくないです。フットサルの盛り上がりを見てもらって、その芽が広がれば面白いですね。フットサルのみならず小さいボリュームのスポーツは『より深く』という方向でやったらいいのではないかと思います。

 例えば、フットサルの良さは選手との距離が近い事です。日頃、スクールで教えてくれている先生が選手なんてサッカーならありえません。選手が身近にいて何をしているかがわかる、この人ができるんだから僕もできるんじゃないか、と思わせるような身近なヒーローを目指しています。それが売りですし、フットサルのポテンシャルはそこにあるのではないでしょうか。

 墨田区ではすばらしい方々に巡り会えています。とにかく何かやらせてほしい、何でもいいからやりたい、と担当の方に話して、体育の日のイベントをやらせてもらったのが始まりです。常に、僕たちが先にカードを切って来ました。自分たちからアクションを起こして来たという自負があります。与えてもらうのではなく、これがやりたいという主張がスポーツ振興課の方々、区長さんに響いたのだと思います。アイデンティティーも運営の理念もピッチの理念も変わらないのがうちの武器なんです。僕たちはゼロからチームを作ってきましたから、監督が来て変わってしまうこともないし、理念に沿う選手しか獲得しません。そのプライドが今につながっているんだと思います」

Q : 監督ご自身の、今後の目標について教えて下さい。

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©FUGADOR SUMIDA

「僕の、でもあり、クラブの目標でもあるんですが、フウガドールすみだというチームが墨田区の方々の生活の一部になることです。夕ご飯で話題にのぼったり、おばあちゃんと孫が一緒に観に来たり、応援したのに負けて、やけ酒飲んじゃったりとか、そういうクラブを作りたい。それはクラブでしか実現できないことです。自分について言えば、外から獲得した選手で勝つのではなく、クラブで育てた選手がうちで活躍し、日本代表選手として戦っていく、それが目標です。僕が表現したいことは、トップチームの監督をやるだけでは実現できません。勝ち負けよりも、チームを長く作り上げて行く、簡単にひっくり返らないものにすることです。もちろん監督として常にアップデートしなければならない知識もあるし、結果が出なくなったら居座るつもりはありません。常に新しい自分でいなければという危機感はあります」

Q : 監督は幼稚園児からトップまで、全カテゴリーの選手を指導されていますが、これから選手をめざす子供たちに伝えたいことは何ですか?

「毎日子供たちに言っているのは、普通にうまい選手は山ほどいるけれど、フウガドールすみだのユニフォームを着られるのは君たちだけだ、ということです。うちに所属していることをどれだけ意識しながらプレイできるかが大事です。フウガらしさを身にまとってほしいし、それは日々のトレーニングの中で自分で感じ取ってほしいです。

 僕は結構楽観的なので、18歳でピークになるように指導しているんですよ。その日のうちに完結させたいと指導者は思いがちですが、できない日があってもいい。時間がゆっくり流れていると思っています。子供たちだけを指導しているなら違うかもしれませんが、僕は全体を見ているので、そう思います。暁星もそうでした。高校で結果を出せばいい、と。小学校の恩師からはドリブル以外しちゃダメだと言われていました。それがすべてではありませんが、そうしたアイデンティティーが一貫して備わっていました。

 それから、大会の価値は自分たちがどれだけ勝ちたいかで決まるということもいつも言っています。何となく勝った大会はすぐに忘れてしまう。大人が決めた価値って嫌いなんですよ。日本一になる大会には価値がありますが、そこにつながるすべての大会は子供たちの熱量によって価値が決まると思います。子供たちは家に帰って『監督の指示、最高だったな』なんて誰も思わない。『俺たち、最高だったな』と言いたいんです。

 今年で一通り、全カテゴリーに自分の考えや色を示すことができたと思います。本当に面白い選手がたくさんいますよ。これまでのフットサル選手はみなサッカー出身でしたが、初めからフットサルで育っている選手が増えています。彼らがフットサル界を変えると思って指導しています」

Q : 今季の目標、そして開幕目前のお気持ちをお聞かせ下さい。

「もちろん優勝です。そして常にチケットの価値を越えるような試合、アウェイでもフウガドールすみだの試合は一番お客さんが入る、そんな試合がしたいです。

 不安はあります。ただ、何かを成し遂げる時にはやったことがないから賞賛されるんだし、やったことがあることを5回やれば感動は薄れて行きます。だからこれは当然のことで、ここで不安にならないようではFリーグに参戦する意味がありません。ですから、それも含めてワクワクしています。こういう感情は久しぶりですね。また新しいものを見つけられるかな、と。

 今年の新チームが始動して2ヶ月が経とうとしていますが、今年のチームはどう考えても面白い!と毎日思っています。他のチーム、他のスポーツのファンにも喜んでもらえるような、最後まで筋書きがわからないような試合がしたいし、従来とはちょっと異質なフットサルがしたいと思っているので、ぜひ楽しみに観に来てほしいと思います」  (完)

須賀 雄大(すが たけひろ) 監督 プロフィール

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1982年6月30日生

東京都新宿区出身 墨田区在住

2000年のチーム創設から関わり、2005年関東フットサルリーグ昇格と同時に監督に就任。以降、関東リーグ、全日本フットサル選手権、地域チャンピオンズリーグなど数々のタイトルを獲得。トップチーム、サテライトチームの他にも、2012年からジュニアユースチーム(フウガドールすみだウイングス)、2013年からジュニアチーム(フウガドールすみだエッグス)の監督も務める。またフウガドールすみだのフットサルスクール(3歳〜)も主宰。

◯監督歴

2005〜 フウガドールすみだ(BOTWANA-FUGA MEGURO-フウガ東京-フウガすみだ-フウガドールすみだ)

2008〜2011 フットサル東京都選抜監督

◯主な戦績

PUMA CUP 2009 第14回全日本フットサル選手権大会 優勝

PUMA CUP 2013 第18回全日本フットサル選手権大会 準優勝

地域チャンピオンズリーグ 優勝5回(2009〜2013)

関東フットサルリーグ1部 優勝6回(2007〜2009、2011〜2013)

第25回全国選抜フットサル大会(2009年) 優勝(東京都選抜)

◯著書

日本一監督が教える完全版フットサル速効マニュアル220(ガイドワークス) 他

フウガドールすみだ 公式サイト

「フットサルで子供たちに夢を!フウガドールすみだFリーグ昇格優勝&応援プロジェクト」  

  =「資金面は常に課題。こういうプロジェクトで選手が競技により集中できる環境を

    作ってあげたい」と須賀監督。ぜひ応援をお願いします!

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