一般社団法人 日本トップリーグ連携機構

日本トップリーグ連携機構は、ボールゲーム9競技の日本の最高峰12リーグの競技力の向上と運営の活性化を目指した活動を行っています。

あそビバ!

「あそビバ!」プログラム開発の背景

5.ドイツとオーストラリアの取り組み
〔諸外国の子どものスポーツ環境〕
諸外国の子どもスポーツに学ぶ・・・・・ ○アメリカ ・小学生以下の全国大会・ブロック大会の全面禁止->ローカルルールの推奨 ・子どものスポーツクラブは、3種目以上 ○イギリス ・UKスポーツ:多種目の運動遊び・スポーツの実施 ・トレーニングや練習をせず、スポーツを楽しむ求められる子どもスポーツのあり方 ・競技志向を無くす。->本来の子どもスポーツの復活。 ・複数の運動遊び・スポーツが体験できる場の提供。 ・低体力・低運動能力の子どもへの運動遊び・スポーツの提供。 ・運動嫌いな子どもが、遊びやスポーツにのめり込む取り組みの推奨。

諸外国の子どものスポーツについては、体育学会の中で、大きなシンポジウムが開かれました。また、文部科学省や日本スポーツ協会(旧 日本体育協会)のスポーツ科学研究室を中心に視察調査を行っています。
 アメリカは、2009年7月に子どものスポーツに対して推奨し始めました。小学生以下の全国大会・ブロック大会の全面禁止し、それぞれの地域にあったローカルルールの推奨することによって、競争を重視した全国大会はなくなりました。
 中学生、高校生になってから競技スポーツをやるのはよいですが、小学生以下の段階では、発育発達の点で見合わないということが明確に示され、14州がその制度を取り入れています。
 また、日本のスポーツ少年団のような、子どものスポーツを提供するクラブは、3種目以上のスポーツを揃えたクラブ作りをしようと推奨しています。
 日本でも、諸外国に習おうと、イギリスの少年スポーツに詳しい先生を呼んで話を聞いたり、日本スポーツ協会(旧 日本体育協会)のスポーツ科学研究所が中心になって、6人編成の調査団を派遣したりしています。イギリスでは、クラブの名称としてはサッカークラブやバスケットボールクラブと呼んでいても、多種目の運動やスポーツを提唱していて、トレーニングや練習に比重をおかないで、スポーツを楽しむことを小学生以下には伝えています。つまり、技術練習よりも、定期的な運動遊び、スポーツ実施を通じて、結果的に子どもたちがスポーツを好きになるように考えられています。
 海外の子どものスポーツに対する取り組みと日本の子どものスポーツの現状を考えると、今後のひとつの方向性として、子どもが楽しく面白くのめり込むようなスポーツを提供することが大切になってきます。
 小学校の高学年から中学生、高校生と学年が上がるごとに、それぞれの競技性が高まっていくことは重要です。しかし、幼児や小学校低学年といった幼少年期には、子どもたちがより楽しく複数のスポーツを体験できる機会が必要です。
 子どもの時に運動嫌いになってしまうと、大人になってからもスポーツから離れる可能性があります。スポーツが得意な子どもだけでなく、低体力や低運動能力の子どもが楽しく遊べるスポーツの場や仕組みの提供も考えていく必要があります。

〔ドイツの取り組み〕
遊戯室幼稚園のプレイリーダー

ドイツには、スポーツユーゲントという団体があります。これは、日本のスポーツ少年団が発足する際に1つのモデルとした団体です。競技種目にはこだわらず、いろいろなスポーツに取り組んでいます。
 写真は、幼稚園内の遊戯室です。子どもたちが楽しそうに遊んでいますが、子どもの運動能力が高いことに驚きました。子どもたちは、高いところから1回転して降りたり、平均台を後ろ向きに歩いたりしています。この動きは、誰かが教えているわけではなく、年長から年中さんへ、年少さんへと少しずつ伝承されています。子どもたちは、自由に遊びの中で、子どもたち同志で、競い合いながらいろいろな動きを覚えていきます。
 写真の中にいる大人は、ボランティアとして活動するプレイリーダーです。プレイリーダーの役割は、何かを指導するわけではなくて、子どもたちに付き添って安全管理や一緒に遊ぶことです。ドイツには徴兵制がありますので、徴兵の代わりに、このようなボランティアを選択する若者もいます。

〔オーストラリアの取り組み〕
AASC Deliverer's kitAASC Playing Materials

オーストラリアでは、3年前から国を挙げて大規模な子どもの運動・スポーツに対する取り組みを始めました。AASC(Australia After School Community)という取り組みで、政府がすべて資金を出しています。放課後の子どもたちを対象に、コミュニティを大事にしながら提供される運動プログラムです。週に2〜3回、主に運動が嫌い、得意でない、低体力、低運動能力といった子どもたちを中心にプログラムが提供されています。
 キャンベラにある小学校の先生は、プレイデリバラー(=遊びの配達人)といわれています。コーディネーターは体育指導委員のような方で、週に1回、翌週、翌々週の運動プログラム提供を考えるミーティングを2時間くらい開催しています。子どもの実態に合わせながら、独自に運動プログラムを検討し、キットや遊戯も作られています。