「あそビバ!」プログラム開発の背景
8.国が示す子どもの体力向上のための政策目標
〔日本のスポーツ振興方針〕
現行のスポーツ振興基本計画は10年間のスポーツ振興に関わる国の方針を示した計画で、2010年で終了します。現行の政策目標の1番に挙げているのは子どもの体力です。子どもの体力向上を基本に、生涯スポーツ、競技スポーツを普及・振興をしていこうと考えられています。
現在、新たなスポーツ振興基本計画について、中央教育審議会のなかのスポーツ振興に関わる特別委員会で議論されています。2009年の5月から7月にかけて、日本オリンピック委員会や日本スポーツ協会(旧 日本体育協会)といった、12の中央スポーツ団体に対してヒアリングを実施しました。スポーツ振興法をひとつ格上げの法律=スポーツ基本法に引き上げたいという思いも関係者の中であり、国会で上げていくことも検討されています。
日本のスポーツは、教育を統括する文部科学省に組み込まれていますが、そこから離れて、スポーツ庁を設置したいという動きもあります。諸外国のアメリカ、オーストラリア、ドイツでは、教育とは分けて作られています。
日本でも、文部科学省以外に農林水産省、経済産業省、外務省、厚生労働省といった官公庁が子どものスポーツに関する取り組みを実施しています。今後は、文部科学省だけではなく、横断的にスポーツを考える必要があります。
〔学習指導要領の改訂〕
小学校の学習指導要領においても、動きを基本として考え、体育の授業の中で経験できるように改訂されました。子どもたちの体力・運動能力が非常に低下していることを背景に、体育も内容が変わりました。子どもたちの状況を打開すべく、学校体育現場においても子どもの体力向上に取り組もうという主旨で改訂されました。
幼稚園、小学校、中学校、高校の学習指導要領が改訂され、厚生労働省から出されている保育指針も全面改訂となりました。2010年の4月から移行措置も含めて新しいカリキュラムで日本の子どもたちの教育が始まっています。
〔各団体による子どものからだ・運動に着目した取り組み〕
具体的な子どもの体力向上を含めた、体や運動に着目した取り組みは、学習指導要領や幼稚園教育要領の改訂を含め、文部科学省だけでもたくさんの事業を行っています。主に体作りや体力向上を中心に体育や健康づくりが考えられています。幼稚園、保育園の体力向上ではなく、体力の基礎を培う、面白い、楽しい場面を作ることが将来の子どもたちのスポーツの実態につながります。
日本レクリエーション協会は、元気アップ親子セミナーを全国で年間400校の小学校や幼稚園で実施しています。親子が肝ですので、親の意識を変えるために、お父さんやお母さんにも参加してもらい、体を動かしながら、子どもの状況を聞いてもらうことが必要です。厚生労働省もこのような対策を進めています。経済産業省はスポーツ健康産業団体連合会を中心に研究を進めています。
トップリーグ連携機構や日本スポーツ協会(旧 日本体育協会)、日本レクリエーション協会といった外郭団体においてもさまざまな、子どもに対するプログラムが行われています。民間企業でも取り組みを始めました。
日本トップリーグ連携機構が展開する「あそビバ!」がきっかけになって、日本の子どもたちが、体力の向上だけではなくて、心も豊かになるようなきっかけになればと考えています。