ベテランジャーナリストはこう見る!

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  1. 2015-3-13

    コラム

    野球の「激しさと愉快さ」を愛した正岡子規

     春はセンバツから――。今年のセンバツ高校野球出場校で異彩を放っているのが松山東高校(愛媛)である。実に82年ぶりの出場であり、俳人・正岡子規の母校、松山中学の流れを汲んでいること。ご存じのように、子規は「若人のすなる遊びはさはにあれど、ベースボールに如(し)くものはあらじ」「春風やまりを投げたき草の原」などいくつもの句や歌を残した野球大好き人間であった。自分の本名・升(のぼる)をもじって、「の(...

  2. 2015-2-13

    コラム

    「今時の若い者」に贈るエール

     最近聞かれなくなったワードに「今時の若い者は…」というのがある。これ、おおむね否定的に使われ、「なっていない」だの「だらしない」だの「頼りない」などと、揶揄する時に使われていた。  ほんのたまに、今でも耳にするが、発する人は間違いなく減ってきているように思う。だいたい思えば、この言葉は還暦に至った、あるいは至る年代が、その上の年代の人たちに言われ、それを踏襲して下の年代にぶつけてきたような気...

  3. 2015-1-13

    コラム

    世界のオギムラ

     この世で私が最も尊敬するスポーツマンは元国際卓球連盟(ITTF)会長の故荻村伊智朗さんである。何故尊敬しているかというと、選手時代の1950~60年代は世界選手権で計12個の金メダルを獲得し、力道山やフジヤマのトビウオ・古橋広之進とともに戦後日本復興のシンボルになったほか、卓球のみならず幅広くスポーツ全体を冷静に見て、世界平和に貢献した偉大なるスポーツ外交官と言えるからだ。この他にも理由は沢山あ...

  4. 2014-12-15

    コラム

    花形記者 ~ ふたつの使命

     今から40年以上前の話をしよう。私が大学を出て新聞社に入社していわゆるかけ出しのころです。最初の配属がスポーツ記者というわけで、担当はプロ野球だった。デスクに直され直されながら商売道具の文字というものが多少、人目にも何とか読んでもらえるようになったころだった。先輩記者に連れられてプロ野球の球場に行った。後楽園球場だった。試合前の一塁ベンチのど真ん中にはでんと眼鏡をかけた男が腰を下ろしていた。それ...

  5. 2014-11-14

    コラム

    「言葉の瞬間芸」〜2020年 ラジオ中継はどうなる?

     昨今、テレビ地上波でのプロ野球中継が減ったので、ラジオ中継を聴く機会が増えた。 昭和30年代のプロ野球人気興隆期、ラジオにかじりついてナイター中継を聴いた身としては、今年のクライマックスシリーズをプレーボールから中継してくれた民放ラジオ局には大いに感謝しなければいけない。  しかし、この試合に限ったことではないのだが、聞けば聞くほど、「昔のラジオ中継とは違うなあ」と思ってしまうのが、残念...

  6. 2014-10-17

    コラム

    「50年目の10月10日」〜坂井義則さんを偲ぶ

     「50年目の10月10日」は、さまざまな響きをもって迎えられ、そして去って行った。1964(昭和39)年東京オリンピックの記憶が、一つの区切りを迎えて感慨が深い。2014年10月10日、その日、国立競技場から最大のシンボル「聖火台」が取り外された。高さ2.1メートル、重さ2.6トンの巨大な鋳物は、埼玉県川口市の鋳物師、鈴木万之助さん、息子の文吾さんらが辛苦の末に完成させた。万之助さんは制作の過程...

  7. 2014-9-16

    コラム

    政治に揺さぶられたモスクワオリンピック

     これほど怒りに震え、悔しさや悲しさを覚えたことはなかった。記者は常に冷静で、的確な判断が求められるが、 この時ばかりは我慢できなかった。そう、34年前の1980年モスクワオリンピックで日本がボイコットした問題で ある。  この年の春、数競技を残してモスクワ行きの日本代表選手が決まっていた。晴れの舞台に向け、それこそ死に物 狂いの猛練習の末、やっとつかんだ代表の座。それが日本政府の...

  8. 2014-8-11

    コラム

    「ゴルフ界のドン」杉原輝雄さんの思い出

     ゴルフ界のドン、杉原輝雄さんが74歳で亡くなられて3年が経つ。通算63勝(うち海外1勝、シニアツアー8勝。約50年の長きにわたって現役一筋を貫いた。162cmの小柄な男は47インチのロングドライバーで闘い続けた。小さな男の勝負への闘争心は、人に生きる力を教えてくれた。  杉原さんと知り合ったのは1997(平成10)年。私が運動部デスクの時代、担当していた東京新聞夕刊一面コラム「放射線」(現在...

  9. 2014-7-14

    コラム

    プロゴルフツアーの男女格差

     日本のスポーツ界で、世界の潮流と異なる現象をみせている競技がある。プロゴルフツアーの男女の格差だ。米・欧・アジア・豪・南アと主だった海外ツアーは男子ゴルフが主役となって引っ張っているのに対し、日本は女子ゴルフに耳目が集まることが多い。多くの試合を開催し、次々とスターが現れる日本の女子ゴルフ界の熱気の要因を探ると――。  今季、日本の女子の試合数は昨年より1試合増えて計37試合。3月の開幕から...

  10. 2014-6-13

    コラム

    後楽園の「スッポン鍋」〜長嶋茂雄監督 インタビューの思い出

     通常は野外の競技場や体育館などのフィールドで、活動する機会の多いスポーツ専門カメラマンも、時にはその流れのなかで選手インタビュー時の撮影も担当するのが常だ。  某年某月、日比谷の高級Tホテルにて、スポーツ専門誌企画、読売巨人軍「長島茂雄監督」の単独インタビューが組まれた。監督、球団関係者、広報担当者、副編集者、編集者、営業担当、ライター、カメラマン、アシスタント、総勢で10余名にもなろうか、...